享楽的なポップが溢れた80年代に怒りの拳を突き上げたアーティストたち<戦うアルバム40選・’80年代編>

戦う女性の道を切り開いたポップアイコン

『Like A Prayer』Madonna(1989)
『Like A Prayer』Madonna(1989)

『Like A Prayer』Madonna(1989)

「戦う女性」ということで言えば、ポップ・ミュージックの世界において、女性の立場を永遠に変えることとなったゲーム・チェンジャー、マドンナ(Madonna)の存在を忘れるわけにはいかない。  「何を歌っているか」以前に、性表現の自由や、女性の実業的な社会進出において、男性社会とはデビューの頃からずっと戦い続けている彼女だが、そんな彼女の若き日における最初の頂点が、このアルバムのタイトル曲。歌詞では、「イエスに禁断の恋心を抱いてしまった少女」を描き、ミュージック・ヴィデオでは、カトリック教会における黒人差別を糾弾。その主張はついに宗教的な因習にまでたどり着いてしまった。さらに「セカンド・ベストじゃダメなのよ」と歌われる「Express Yourself」も、2010年代に音楽界で猛威を振るった「フィーメール・エンパワメント・ソング」を四半世紀先取っていた。 『Freedom』Niel Young(1989)
『Freedom』Niel Young(1989)

『Freedom』Niel Young(1989)

「反抗することは若者の特権」という、この当時までのロックにでさえ当てはめられていた固定概念を完全に覆したことで、ニール・ヤング(Niel Young)の本作はかけがえのない意味がある。すでに40代半ばにさしかかっていた“ヤッピーになれなかったヒッピー”は、ここで自分を奮い立たせるように、これまで以上の激烈なエモーションと共に、「自由な世の中でロックし続けろ」と、「人生の終わりなき戦い」を主張。この「Rocking In The Free World」はその後、パール・ジャムを始め、多くのロッカーに歌い継がれるアンセムとなった。  この曲をはじめとし、本作では彼本来の、社会の現実を直視し、その矛盾への怒りや嘆きを訴えたスタイルへと回帰。かつて「錆び付く前に燃え尽きたい」とも歌った彼だったが、その感性はまだ錆び付いてさえもいなかったことを証明し、70歳を超えた現在に至っている。 <取材・文/沢田太陽>
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