「黙っていても客がつく台に高設定など入れない」店も!?
しかしどのパチンコホールでもこのような考えを持っている訳ではない。
繰り返すが、今はパチンコホールにとって、生きるか死ぬかの瀬戸際である。
今後2年~3年のうちに、3分の1のホールが閉店するとすら言われているのだ。現状1万店舗を切ったパチンコホールが6千店くらいまで減少するという事だ。
企業として今後のビジョンを持ち、経営資源に一定以上の余裕があるパチンコホールでは、前述のような「撤去イベント」に呼応していく確率は高いが、一方で、
経営資源に乏しく日々の営業に汲々としているパチンコホールでは単なるガセイベント化する可能性の方が高い。
広告宣伝が厳しく規制されるなか、「撤去イベント」はパチンコホール側が大々的に宣伝する訳ではない。あくまでユーザー側がイベント化しているもの。「客が勝手に盛り上がって、勝手に打ってくれるだけ」、「黙っていても客が付く機種に高設定を入れる理由は無い」という考え方も確かにあるし、商売の発想で言えば、その方が自然な考え方でもある。そもそも背に腹は代えられない。例えばホール現場の店長が撤去機種に高設定を配分したくても、経営陣がそれを許さない場合も多い。
全国には1年先の経営が見通せないパチンコホールが、実は多く存在しているのだ。
本稿においては、「人気機種の撤去イベント」にフォーカスしたが、どちらにせよこの年末の一斉撤去がパチンコ業界全体に与える影響は甚大だ。
機種が撤去されるのではなく、パチンコ店自体が「撤去」されてしまうかも知れない現状。人気機種の撤去は、業界の冬を厳冬に変えていく。いくつのパチンコホールが、春を迎えることが出来るのか。
<文/安達夕>