忘れられた台風19号の被災地、福島。厳しい冬を前にボランティア足りず

とにかく、目の前で困っている人を助けてほしい

 台風被害によるボランティア不足を伝える報道をめぐっては、「ボランティアに頼らずもっと行政が災害支援できる枠組みをつくるべき」という議論が起きている。しかし上島さんは、現場の視点からその前にもっとやるべきことがあると訴える。 「議論はもっともで、僕も趣旨には賛同します。でも今は、とにかく目の前で困っている人を助けて欲しいんです。今回は『初めてボランティアに来ました』という人が少ない印象があります。そのような、ボランティアに参加しようか迷っている人たちを後押ししてあげるような環境をつくってあげることがまず大事ではないでしょうか」
ピーボート災害支援センターの上島安裕さん

ピーボート災害支援センターの上島安裕さん

 上島さんに話を聞いた11月7日は、すでに朝の気温が7℃と肌寒かった。東北地方はこれからぐんぐん気温が下がっていくが、今も毛布一枚で寒さをしのいでいる人たちもいる。一人ひとりが、いま何ができるかを考え、寒さが本格化する前に、被災者支援を広げていく必要がある。 <文・写真/高橋真樹>
ノンフィクションライター、放送大学非常勤講師。環境・エネルギー問題など持続可能性をテーマに、国内外を精力的に取材。2017年より取材の過程で出会ったエコハウスに暮らし始める。自然エネルギーによるまちづくりを描いたドキュメンタリー映画『おだやかな革命』(渡辺智史監督・2018年公開)ではアドバイザーを務める。著書に『ご当地電力はじめました!』(岩波ジュニア新書)『ぼくの村は壁で囲まれた−パレスチナに生きる子どもたち』(現代書館)。昨年末にはハーバービジネスオンラインeブック選書第1弾として『「寒い住まい」が命を奪う~ヒートショック、高血圧を防ぐには~』を上梓
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