幸福の科学大学(予定、現HSU)の校舎。中央奥にあるのはピラミッド型礼拝堂
学校法人幸福の科学学園が10月25日、同日に文部科学省に対して「幸福の科学大学(仮称)」の設置認可を申請したと発表した。同大学の認可申請は、前回〈
科学的合理性が立証できていない「霊言(霊言集)」を本大学における教育の根底に据えるということは、(略)認められない〉(
文科省発表資料)として不認可とされて以来、5年ぶり2度目。
前回の申請時は3学部の予定だったが、今回の再申請では
4学部に大学院1を加えての申請となった。1年半後の2021年4月開学予定として、文科相の諮問機関である大学設置・学校法人審議会大学設置分科会(以下、審議会)の審査を受ける。
同大学については、再申請前に日刊ゲンダイ(2019年10月5日発売号)がいち早く察知し「
萩生田文科相の後押しで「幸福の科学大学」ついに開学か」と報じた。別ページとは言え広告がらみと思われる幸福の科学の映画紹介記事が載った紙面だった。教団と広告での付き合いはあっても報道においては忖度しない、日刊ゲンダイならではの気骨ある単独報道だった。
日刊ゲンダイが報じた
萩生田光一文科相の関係を補足しながら整理してみたい。
幸福の科学大学は、「学校法人幸福の科学学園」が開学を計画しているもの。学校法人は2010年に幸福の科学学園那須校(栃木県那須町)、2013年に同関西校(滋賀県大津市)という2つの中高併設校を開校させており、大学はまだない。
2014年に大学の設置認可を申請したが不認可とされ、無認可のいわば私塾と言えば聞こえがいいが、実質、信者養成の宗教施設として「
ハッピー・サイエンス・ユニバーシティ」(HSU)との名称で2015年に「開学」させた。「ユニバーシティ」と名乗っているが大学はおろか各種学校としての認可もないため、ここに「入学」しても学歴にはならない。しかし前述の2つの幸福の科学学園(高校)の卒業生の大半が、進学や就職を放棄してHSUに入るという状態が現在も続いている。
前回、同大学の設置が不認可とされた理由は単純だ。
大川総裁が霊を呼び出したと称して語る「霊言」を科学的根拠があるものであるかのように扱う教育内容を予定していたからである。
審議会は、全学部共通の科目の中で扱われる予定だった大川総裁の著作について、〈
「霊言(霊言集)」を科学的根拠として取り扱う旨の記述がなされている〉(
文科省発表資料より)と指摘。以下のように結論づけた。
〈
このような科学的合理性が立証できていない「霊言(霊言集)」を本大学における教育の根底に据えるということは、学校教育法第83条第1項の「学術の中心」としての大学の目的を達成できるものとは認められない。また、大学設置基準第19条第1項の「体系的に教育課程を編成する」及び同条第2項の「専門の学芸を教授し、幅広く深い教養及び総合的な判断力を培い、豊かな人間性を涵養するよう適切に配慮」の各要件を満たしているものとは認められない。
なお、念のため付言すると、本指摘は、宗教活動における「霊言(霊言集)」の意味や妥当性に言及しているものではなく、あくまで学問的な見地からの指摘である。〉(
文科省発表資料より)
宗教系の大学を認めないというわけではないし、大学における宗教教育も否定していない。大学は学生の総合的な判断力を養うことを目指すべきであり、科学や学問と教義とを混同する大学は認められない、という理屈だ。宗教の教義を教えたいなら宗教団体でやればよい。大学にしたいなら、大学ではちゃんとした学問を教えろという、ごく当然の話だろう。
研究室の本棚まで「大川隆法」だらけのHSU(読者提供)