より多くの人に呼びかけるためにオマケをつけたり、著名人や人気キャラクターとコラボする手法そのものには効果的な部分も多いはずだ。
しかし、今回のポスターについては、一部のコアなファンが擁護するような漫画とのコラボという部分ではなく、イラストの内容が問題になっていることを再認識するべきだろう。ノルウェー人女性(34歳)は、その点について指摘する。
「最悪ですね……。海外でもチャリティなどで有名人が出てくるのは普通です。むしろ、日本より多いぐらいじゃないでしょうか。でも、露出が激しかったり、ボディラインを強調した服で呼びかけることはしませんし、すれば必ず非難されると思います。
アニメとか漫画だからというのは関係ない」
彼女からは、ポスターに使われたイラストが献血と関係なさすぎるという意見も出た。
「そもそも、このキャラクターや作品がどう献血と関係あるのか知りたいです。ポスターを見ても献血を呼びかけるものには見えません。
単に胸を強調してカワイイから使ったというのであれば、性的に利用しているのと何が違うんですか?」
また、取材中に自ら「俺、日本のアニメとか漫画ならわかるよ」と声をかけてきたトルコ人男性(24歳)からも、呆れ気味のコメントが。
「
アニメは大好きだし、女のコも好きだけど、これはわからないね……。なんで献血でこんなポスターにしたの?」
今回、「宇崎ちゃんポスター」はイラストの内容が問題となったが、より高齢の外国人からは日本の広告業界の体質そのものへの批判があがった。ポーランド人女性(63歳)は怒りをにじませながら、次のように語った。
「テレビのコマーシャルにしろ、街で見る広告にしろ、
大人をバカにしてるのかと思うようなものが少なくありません。子どもに注意を呼びかけるものならわかりますが、
政府のものや公共機関、大企業でも、どれもアイドルとお笑い芸人にアニメや漫画ばかりなのはおかしいですよ。それも中身がなくて、単に出ているだけ。子ども扱いされているようでイライラします。みんな自分の使ったお金や税金があんな子ども騙しに使われて、何も感じないんですかね」
宣伝するためにお金をかけているのか、お金をかけるために宣伝しているのか……と映っている部分もあるようだ。
「宣伝したいものが何なのかや訴えたい層、見せる場所を考えて作るのが広告で、場所や相手、中身も考えないで垂れ流すのは違うでしょう。このポスターに限った話じゃないです。見る人ももっと考えないと何も変わらないと思います。こんな酷いものがまかりとおってるのは、見る人が何も考えていない証拠ですよ」
我々が普段何気なく目にしている広告だが、ある意味鏡のような面もあるのかもしれない。今回の炎上ポスター、あなたの目にはどう映っただろうか?
<取材・文/林 泰人>
ライター・編集者。日本人の父、ポーランド人の母を持つ。日本語、英語、ポーランド語のトライリンガルで西武ライオンズファン