マンパワー社員の内部告発「東京都の外郭団体委託の企業説明会で、サクラの学生」
社内で不正の証拠を集めるAさんに、東京都就業推進課から連絡
以後、Aさんと筆者はツイッターのダイレクトメッセージ、メール、電話で連絡をとるようになった。
Aさんが社内で不正の証拠を収集している時期に、東京都就業推進課から連絡があった。しかし、Aさんは以下のように伝えたという。
「調査した結果、問題がありませんでしたとなったら、会社での私の立場もあるので、詳細は一切お伝えできません。理由は、東京都が身内で揉み消すことも考えられるからです」
2019年7月末、証拠固めが完了したので、筆者はAさんに東京都の公益通報の弁護士窓口へ通報するようすすめた。Aさんは所定の通報用紙に不正の詳細を記入し、証拠文書を添付して弁護士窓口へ送信した。
以下、記入内容の一部を紹介する(一部の固有名詞をアルファベットに置き換えるなど修正)。
Aさんが公益通報の弁護士窓口に通報した内容とは
Aさん「これは氷山の一角にすぎません」
翌日、弁護士からAさんへ以下のメールが届いた。
「通報を拝受いたしました。都の公益通報制度は、都の職員の違法行為を対象といたします。そこで、本件は制度の対象となりませんが、事柄が重要と思われますので、関係部署に情報提供いたします。通報ありがとうございました」
現在、Aさんはどう考えているのか。
「今回、東京都は合同企業説明会2回分の委託費用約180万円を不支給としましたが、これは氷山の一角にすぎません。もし今後、無駄遣いされた税金の全額が返還されないなら、もともと東京都や財団とマンパワーが癒着していたということだと思います」
確かに、従前、サクラの学生が合同企業説明会に参加していたことを東京都や財団が知らなかったのは不自然だ。なぜならネットで検索すれば、そのような「アルバイト」の情報はいくらでも見つかるからである。
今後、Aさんの処遇や東京都の調査の動きを見ながら、続報をお伝えしていきたい。
【文・写真/寺澤有】フリージャーナリスト。出版社「インシデンツ」代表。9月27日にe-book『政務官が汚染水を飲むまで』を上梓)。その他の著書に『ドキュメント! 倒産した出版社から未払い印税を回収した話』、『こうして監視社会は始まった』、『裁判所が考える「報道の自由」』、『記者クラブとは』、『最高裁が隠蔽するGPS捜査令状報告書』』(ともにインシデンツ)など。
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