安倍首相や茂木外相、少数民族虐殺・戦争犯罪疑惑の人物を「おもてなし」。人権侵害に加担する日本政府

 10月のニュースと言われて、何を思い出しますか?ほとんどの人は、ラグビーワールドカップや台風19号による壊滅的な被害、あるいは天皇陛下の「即位の儀」などではないでしょうか。

外務省の謳う「人権外交」と矛盾

 これらは言うまでもなく大事な出来事です。しかしながら、もうひとつあまり報じられなかった重大な出来事があります。それは、安倍首相が戦争犯罪の疑惑がある人物と東京で会談を行ったことです。
茂木外相とミン・アウン・フライン・ミャンマー連邦共和国国軍司令官

安倍首相との会談が行われた10月9日同日に茂木敏充外務大臣と会談したミン・アウン・フライン・ミャンマー連邦共和国国軍司令官。(写真/外務省)

 その人物とは、ミャンマー軍のミン・アウン・フライン最高司令官です。同氏は2018年に国連が派遣した事実調査団により、ラカイン州で少数派ロヒンギャ・ムスリムに対する戦争犯罪、人道に対する罪、およびジェノサイド罪に関し「捜査および訴追」されてしかるべき人物であると結論付けられています。  防衛省の発表によると、安倍首相は「ラカイン州の人権侵害疑惑について,独立調査団の提言を受けて、ミャンマー政府及び同国軍が適切な措置を速やかに取るよう促し、貴司令官が指導力を発揮し最大限取り組むよう」ミン・アウン・フライン最高司令官に求めました。しかし、ミャンマー政府が設置した「独立調査団」が独立性に著しく欠けることは語られなかったうえ、ミャンマー軍の残虐行為をめぐり、真に独立かつ公平な捜査を実行すべく、国連および関係各国政府が継続的に努力していることについては言及しなかったようです。(参照:防衛省ヒューマン・ライツ・ウォッチ)  国連の事実調査団以外にも、ミン・アウン・フライン最高司令官はロヒンギャを超法規的に殺人したということで、今年7月に米国政府から制裁を受けています。このような人物を日本が外交的に厚遇したことは、外務省が謳う人権外交を裏切る行為でもあります。(参照:外務省

過酷な暮らしを強いられるロヒンギャ

 2017年8月、ミン・アウン・フライン最高司令官は悪名高き2つの部隊をラカイン州に派遣しました。この2つの部隊は74万人超のロヒンギャが国外に脱出する結果となった大規模な民族浄化運動を主導し、 現在も100万人近いロヒンギャが、バングラデシュの洪水が起きやすい危険地域にある難民キャンプに、過密状態で暮らしています。  ミャンマー国内でも60万人が、移動の自由や基本的権利を認めない地方自治体や治安部隊による監視のもと、避難民キャンプや村々に閉じ込められた状態にあります。  昨年、国連のミャンマー事実調査団は、政府軍によるロヒンギャへの暴力行為がミン・アウン・フライン最高司令官の命令により実行されたと結論づけました。ジェノサイドの意図があったという結論に至る過程で、事実調査団はミン・アウン・フライン最高司令官の声明およびソーシャルメディアへの投稿を分析しました。  たとえば、国の「ベンガリ問題」を「解決」するといった宣言がそれにあたります。調査団は、「ミャンマー治安部隊が、自らの役割をめぐり憂慮すべき差別的な見解をもっていること、そして、国際人権法の中核的な原則のひとつである差別なき平等な保護を無視していること」があきらかになったと結論づけました。
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国際社会からずれた日本の「中立性」
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