巷の「心理テクニック本」はなぜ使えない!? 効果を出すのに足りない3つの基本原則とは?

 ビジネスで使える心理術を紹介する当連載。今回は、何十とある心理テクニックを覚えることなく、その核となる「3つの基本原則」を理解することで、自然と心理テクニックを使って仕事の成果を高めることができる方法について解説する。

情報過多で実践に至らない

脳のイメージ

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 仕事で成果を上げるために、心理学を学ぼうとする人は多い。書店のビジネスコーナーに行けば、何十冊ものビジネスで使える心理学の本があり、中を見ると、研究や経験によって裏打ちされた心理テクニックが何十個も載っている。  そういう本を読んで心理テクニックの知識を持っている人と出会うことは多いのだが、それを仕事でちゃんと使えている人は少ない。もちろん、本人の意思力の問題もあるが、同時に本にも問題があるのではないだろうか。  私も仕事柄、そのような本を読むことが多く、素晴らしい本に出会うことが多い。しかし、そのような本の中に潜んでいる問題点から、心理テクニックを使える人が少ない理由がわかってきた。  それが、「心理テクニックの本の情報過多」と「信頼関係不足」だ。  心理テクニックの本は百科事典や用語集のような本が多く、中には読者が十分に満足できるだけの心理テクニックの情報が載っているのだが、逆に多すぎて読み終わった頃には、「結局、私はどうしたらいいんだろう?」という状態に陥ってしまう。選択肢が多いほど、選べなくなってしまうことは、「ジャムの法則」と呼ばれている。  読者の抱えるひとつの課題に対して、あらゆる解決策が提案されており、結局どれを選択したらいいのかわからなくなっているのだ。

小手先の技術が信頼関係を損なう

 また、心理学のテクニックだけ覚えてしまうと、その根底にある「信頼関係」のケアをしなくなってしまう。  あらゆる心理テクニックは、信頼関係をベースに効果を発揮する。相手を自分の思い通りにしたいという、“ジャイアニズム”で、心理テクニックを使うようなダークサイドに堕ちてしまった人は、相手と信頼関係を構築することなく心理テクニックを使おうとしまう。  そして本来は効果を発揮するはずの心理テクニックもまったく効果を発揮しなくなってしまう。
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「心理テクニック」を使う上で欠かせない「3つの基本原則」
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