辻元vs進次郎。内閣の消臭剤・小泉進次郎大臣の「ふんわり答弁」を信号無視話法分析

辻元議員の質問に答える小泉進次郎環境相

辻元議員の質問に答える小泉進次郎環境相
衆議院インターネット審議中継より

そもそも進次郎氏の発言は本当に歯切れが良いのか

 歯切れの良い発言で高い人気を誇り30代の若さで環境大臣に抜擢されたものの、入閣後は記者の質問に意味不明な回答を繰り返して悪い意味で注目を集めてしまっている自民党・小泉進次郎氏。  一方、歴代政権を厳しい質問で追求してきたものの、党の要職(国対委員長)を務めていたために国会質問から遠ざかっていた立憲民主党・辻元清美氏。  2019年10月11日、衆議院の予算委員会ではこの両者が相まみえ、過去に進次郎氏が「原因究明すべき」と積極的に発言していた森友学園問題や担当分野である環境問題について質疑が行われた。この質疑は、辻元氏が進次郎氏のことを安倍内閣の「消臭剤」と表現したことでも大きな注目を集めた。本記事では、このうち環境問題に関する質疑を信号無視話法分析していく。具体的には、信号機のように3色(はOK、は注意、はダメ)で直感的に視覚化する。 信号無視話法分析ルール20191011 辻元氏の進次郎氏に対する環境問題の質問はパリ協定(温暖化抑制の国際的な取り決め。2015年12月に国連気候変動会議で採択)に関する1問であった。  その質問に対する進次郎氏の回答を集計した結果、下記の円グラフのようになった。 20191011 衆議院予算委員会 辻元清美vs小泉進次郎環境相.集計結果 <色別集計・結果> ●小泉環境相:赤信号86%、青信号4%、地の色10%  テレビでは歯切れの良い物言いをする進次郎氏のイメージとは大きく異なり、質問にほとんど答えてない。いったいどのような質疑だったのか詳しく見ていきたい。

トランプ大統領のパリ協定脱退に対する進次郎氏の評価

20191011辻元vs進次郎  まず、辻元議員の質問内容は以下の通り。 辻元清美議員私ねー、臭い物に蓋じゃないけども、私は小泉さんの役割、なんだかですねー、そういう政府のいろんな問題をごまかす清涼剤にあなたが使われるんじゃないかと心配してるんです。爽やかな小泉進次郎を大臣に入れることで臭い物に蓋って言葉がありますけどね、蓋にはまだなってないですよ。軽いから。消臭剤。デオドラントの役割を担わされるんじゃないかと思って、心配して質問してるんですよ。だから、ハッキリいろんなこと言ったらどうかと申し上げてるわけです。まあ、国会改革、国会改革って言ってますけど、その調子だと政治不信の片棒を担がせられるんじゃないかと心配だということをご忠告しておきます。 それでですねー、パリ協定。トランプ大統領が脱退しましたよね。これですねー、私は間違った判断だと思いますが、小泉さん、どうですか?   冒頭、馴れ馴れしくも絶妙に失礼な「辻元節」が炸裂。注目を集めた「消臭剤」発言の後、辻元氏はトランプ大統領のパリ協定脱退に対する進次郎氏の評価をシンプルに尋ねている。この質問に対する進次郎氏の答弁がこれだ。 小泉進次郎環境大臣:えー、今お尋ねがあったトランプ大統領のパリ協定。これ、事実関係をまず先に申し上げておきますが、えー、脱退はまだしておりません。えー、脱退は可能となるのは来年の、おー、11月以降であります。トランプ大統領が、あ、したのは、脱退の表明であります。  えー、そのことだけを捉えて、アメリカが気候変動の取り組みに、えー、全面的に否定的だということは私は違うと思います。現実に、現実に、私はニューヨークでも、えー、環境庁の長官のウィーラー長官ともバイ会談*をしましたが、えー、大変、海洋プラスチックごみの、おー、取り組み、そして、えー、食品ロス、フードロス。この取り組みについては、えー、とても前向きな思いを持っておられ、そして、えー、これは今日本でも開催されているフォローアップ会合の中でも、えー、アメリカが参加をして、今回、イノベーションについて、アメリカが、えー、ホストみたいな形で、ま、議長みたいな形でやって頂きました。  ですので、トランプ大統領の脱退の表明は大変残念であります残念でありますが、そのことだけを捉えて、アメリカ全体がそうかと言えば、カリフォルニア、また、そういった様々な、えー、民間の方も含めて、いろんなが取り組みがやっていますので、そのことをしっかりとまた評価をしながら、一緒に協力できるところは何かを前向きに考えていきたいと思います。  ちなみに、先ほど辻元先生から色々言われたのでお答えをさせて頂ければ、政治家としてのは、政治家というのは、私は、あの、使われるものだと思っていますから。使いがいがあると思って頂けるのは、それはやりがいを感じるところでもあります。しっかりと頑張っていきたいと思います。 <* 二国間会談を意味する和製英語>
次のページ 
堂々と爽やかに論点ずらしを駆使する進次郎氏
1
2