悪臭とゴミ問題に悩まされる、千葉県館山市の台風被害

ブルーシートで補填された屋根

瓦不足のため、このようにブルーシートで補てんするしかない

テレビ映像ではわからない被災地の現実

 千葉県の台風被災地にて、ボランティアと取材を行っている筆者。  この日は昼食休憩を終えた後、午後の作業場があてがわれ、車で移動することとなった。  次の現場は、まさにこれからブルーシートを貼らなければならない民家である。上記写真の通り大幅に瓦が飛び散り、トタンの屋根がめくれあがっている。  忘れてはならないのは、この地域すなわち館山市波佐間が決して最悪ではないということだ。現場で作業した人に言わせると「布良」(めら)という近隣の地区はさらに大きな被害が出ているのだという。  この現場でも作業班は二手に分かれた。「屋根の上でブルーシートを貼る組」と「下で瓦を拾う組」である。筆者は当然後者である。

「悪臭」は被災地での重要問題の一つ

 地面に散らばる割れた瓦は写真の通りだが、これを拾って集めるのに特技は必要ない。ゴム軍手が一組あればいい。  ただ、瓦そのものが重いため、絶対に回収袋一杯に詰めてはならない。かならず半分か、三分の一程度にしておかなければならない。そうしないと、たとえ集めても運べないという事態を招いてしまうのだ。  作業中に、被災地特有のもう一つの問題に直面した。「悪臭」である。  この家では犬を飼っている。必然的に犬の糞が発生するわけだが、この糞が瓦と一緒に飛び散ったため、悪臭が出始めているのだ。
悪臭は大問題

犬の糞とともに飛び散った瓦からは、悪臭が立ち込める

 かつて、東日本大震災の際に石巻でボランティア活動をしたときもそうだった。現場近くにコンビナートがあり、そこから出た工業用排水に含まれていたと思われる油膜が元になった海底のヘドロが津波と共に襲ってきて、地面数㎝を覆っていたのだ。  したがって、最初の作業は「このヘドロをはがして、近くに埋める」だった。残念ながら、テレビカメラも、写真もこの悪臭は伝えることができないのだ。報道の限界を痛感する。
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ゴミ集積場はパンク状態で、回収の手助けが必要
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