iPhone11、タイでも発売されるけど、もしかして安く買える?

ただ、大きな問題が

 大きな問題が日本側で立ちはだかるのだ。日本の電波法によって、海外で購入したスマホを日本国内で使用するためには「技術基準適合証明等」のマーク、通称「技適マーク」がなければならない。タイ国内で販売されるスマホにはこのマークがない機種が多い。どのスマホも設定ページから認証や認可などに関するページに進めば確認できる。もし、この技適マークがない場合、万が一摘発されることになれば、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が待ち受けている。  今のところ、技適マークの違反での摘発例は聞いたことがない(技適マークに関した逮捕案件はあるが、スマホではなく無線機だった)。というのは、電波法はどちらかというと、日本国内で使われている無線などの電波を妨害させないための法令であり、同時に発見するには高度な設備や捜査人員が必要なため、テロの脅威などがない限り、わざわざ個人のスマホにまで目が届かないようだ。  それから、外国人の訪日人数も増加しているので、外国人が自国で使用しているスマホの持ち込みも日常的に行われている。そこで電波法では、たとえば第4条2項で総務大臣が認めた外国の技術基準承認を受けている端末であれば、入国から90日を超えない期間、日本の技適マーク適合機種とみなすとされている。音声通信は困難だが、データ通信であれば、少なくとも90日以内は問題がないということになる。  日本に住所を置く人が、たとえ90日連続で日本国内に滞在できないほど海外出張が多いとしてもかなりグレーゾーンになってしまうが、少なくとも、決まった国に長く滞在・出張するならその国で端末を買ってしまった方がいいかもしれない。特にタイなら日本人にとってビジネス環境や市場が拡大しつつあるので、タイが安ければ選択肢のひとつになる。  で、肝心のiPhone11の技適マークはどうなのか? 残念ながらタイの発売は18日なので、タイで発売されるiPhone11に技適マークがあるか否かはわからなかったが、過去にタイのアップルストアで販売されたiPhoneX、それからiPhoneXsを確認してみた。すると……。  残念ながら日本の技適マークはなかった。iPhone11が現状(取材時)は市場に存在していないので確認できないが、技適マークがない可能性が高いだろう。一方では「iPhone」といっても国によって中身のタイプが違うので、もしiPhone11が日本の総務省で認可されたタイプと同じなら問題がないことにはなるが、果たしてどうなることか。  また、当然ながらタイで購入すれば保証関連はタイ国内のルールに準拠する。いずれにしても、日本人が日本で使うためにタイでiPhoneなどスマートフォンを購入すると多少のリスクが伴う。トラブル対処を自分でできる自信がある人なら検討の余地がありそうだ。 <取材・文・撮影/高田胤臣>
(Twitter ID:@NatureNENEAM) たかだたねおみ●タイ在住のライター。最新刊に『亜細亜熱帯怪談』(高田胤臣著・丸山ゴンザレス監修・晶文社)がある。他に『バンコクアソビ』(イースト・プレス)など
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