日本映画不毛の地だったロシアの映画祭で8本の日本映画上映、急速に進む日露の文化交流

ロシアの映画祭で8本の日本映画が上映

日本からの参加者

中国映画にも出演する国際俳優・マキシム・コロソフさんと日本からの参加者。左から深月ユリアさん、マキシム・コロソフさん、筆者、『ひとりじゃない』チームの鐘江稔監督、女優・羽田野裕美さん、「くらやみ祭りの小川さん」関係者・長沼啓司さん

 日本人がまだ誰も踏んだことのないレッドカーペットを踏んできました。ロシアの五大映画祭の一つ「第17回アムールの秋映画祭」(ロシア連邦アムール州政府主催)で、日本映画を紹介する「日本シネマデイズ」が開催されたのです。  俳優の松尾貴史さんやダンサーのJUN AMANTOさん、映画評論家の二井康夫さんなどが審査員をつとめ、応募作や推薦作から選ばれた『くらやみ祭りの小川さん』(浅野晋康監督)『ひとりじゃない』(鐘江稔監督)『Lemon&Letter』(梅木佳子監督)、筆者が監督をつとめた『はじまりの日~ベーシックインカム元年~』、そして森達也監督の最新作『i-新聞記者ドキュメント』の世界一早い“特報”など、8本の日本映画が上映されました。
映画祭開幕

開幕式にはモスクワやドイツ、中国などから、ロシア映画界のスターが結集

 ロシア語の字幕をつけ、3日間の上映に臨みました。日本からは監督映画『ひとりじゃない』の鐘江稔監督、主演の小林涼子さん、女優の深月ユリアさんなど、俳優・映画支援者8名が現地へ同行しました。  9月14~22日の間、朝から夜までブラゴベシチェンスク市内の7つの会場と、アムール州他地域で開催。町中に映画祭関連のポスターが大きく掲げられていました。

最優秀賞は39歳女性監督のデビュー作品

最優秀賞

「アムールの秋映画祭」最優秀作品賞を受賞した『AD LIBITUM』(ポリーナ・ブランデンブルク監督)

 ロシア連邦外交部部長やロシア連邦文化庁文化副部長、アムール州政府知事、ロシア映画協会の会長が祝辞をよせ、アムール州州都のブラゴベシチェンスク市市長がこの映画祭を全面的に応援。  コンペティション(審査)の対象となる12本のロシア長編作品と、25本の短編映画、14本の長編芝居やミュージカルなど舞台芸術の実演、日本映画8本を含む12本の招待作品が上映されました。来場者は4万人。21万人いる州都の5人に1人が参加する計算になります。  コンペ部門で対象とされる条件は、この「アムールの秋映画祭」で初上映されるということ。国際映画祭で30の賞を受賞した大御所の監督と、大学を卒業したての新人監督が一緒にコンペディション部門に参加しています。  この映画祭では、テレビドラマのプロデューサー監督であるフルマン・ブラッドさんが審査委員長を務め、市民からの投票で観客賞が選ばれます。  今年の最優秀賞には、39歳の女性監督(ポリーナ・ブランデンブルク監督による「AD LIBITUM」が選ばれました。社会的に成功したテレビプロデューサーが事件に巻き込まれていくサスペンスドラマです。  観客が選ぶベスト映画には、大学を卒業したばかりで今回がデビュー作となる、ブラディスラボ・バクノヴィッチ監督の「ミートグラインダー」が選ばれました。高校生が、夢をつかむために格闘技に挑戦する青春ドラマです。  どちらも監督デビュー作。新しい才能を見つける登竜門として映画祭が機能しています。
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映画界では中露の協力が進む
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