メリットあるのは業者だけ。教員や高校生が「共通テスト、英語の民間試験導入」中止を文科省前で訴え
大学入試改革の中止を求める抗議が10月4日、文部科学省前で行われた。元私立教員の田中真美さんが呼びかけ人となり、学生や市民ら延べ150人(主催者発表)が集まった。
2020年度に始まる大学入学共通テストでは、英語の民間試験が導入されることになっている。しかし民間の試験は受験できる場所が限られているため、地方の学生は交通費・宿泊費を余分に負担しなければならなくなる。また経済力のない家庭の生徒は練習のために試験を受けることができず、不利になるのではないかと指摘されている。
また国語と数学に記述式の問題が導入されることに対しても批判の声が上がる。50万人近い学生の答案を一律の評価基準で採点できるのか疑問だからだ。
集会の冒頭、田中真美さんは、大学入学共通テストへの移行と民間英語試験の利用を中止するよう改めて訴えた。
「萩生田(光一)大臣が未だに大学入試改革を強行する姿勢は、公正公平な入試の実施を望む多くの人々の願いを踏みにじるものです。
萩生田大臣が10月1日の会見において初年度を『精度向上期間』と呼び、精密さを高めるための期間と位置付けたことは許しがたく、ここに強く抗議します。大学入試は多くの受験者にとってたった一度の機会です。その機会を保証する責を負う立場に立つ自覚があまりにも欠如しています」
また、国語・数学への記述式問題導入についても「妥当性が疑問視される出題が加えられ、その採点の体制も整わず、莫大な税金が請負業者に投入されることだけは決まっています」と話した。
記述式問題の採点は、ベネッセホールディングスの子会社である「学力評価研究機構」が約62億円で受託している。ベネッセグループは、共通テストで活用される英語民間試験の一つである「大学入学共通テスト版GTEC」(ジーテック)も運営しており、大学入試改革で収益を上げることが見込まれる。
抗議には、立憲民主党会派の山井和則議員も駆け付け、高校生からの訴えを紹介した。
「その高校生は、地方に住んでいて、県内で民間の試験を受けられないそうです。海を渡って県外に行くためには、交通費も宿泊費も掛かってしまいます。授業や部活動の合間を縫って、泊りがけで試験を受けるのは大変なことです。学生たちは不安に思い、怒っています。こうした学生たちの姿が、見えているのでしょうか」
日本共産党の吉良よし子議員も、「準備不足なのに、文科省はそのことを認めていない」と指摘。「初年度は精度を向上させるための年だと言っていますが、受験生を実験台にするつもりでしょうか。見切り発車を許すわけにはいきません」と訴えた。
問題が山積する大学入試改革
野党議員からも反対の声
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