「ポケベルの思い出と言いますと……仕事でしか使った記憶がないですね。ご飯を食べている時にベルがなるとイラッとはしました(笑)」
続いて話していただいたのは、関西に在住の加藤さん(仮名・55歳)。高校を卒業後、近畿地方にて事務機器の販売代理店にカスタマーエンジニア(通称:CE)として、20代半ばまで働いていていました。
NTTドコモ歴史展示スクエアより
今でこそ、携帯を始めとする連絡機器はみな持っていますが、当時は持っていないことが当たり前とのこと。社員にポケベルを持たせている会社も、珍しい企業として位置付けられていました。
加藤さんの会社は、ポケベルを持たせることで作業効率化を図ったそうです。CEのメンバーは訪れる先の場所を考慮した上で、会社に一日のスケジュールを組まれていました。そこにポケベルを導入することで、修理依頼を始めとする臨時の依頼に対応できるようにしたとのことです。
NTTドコモ歴史展示スクエアより
加藤さんに当時のことを振り返っていただくと、「使っている機器が故障して困っている顧客からの修理依頼が会社に来てるわけですから、緊急連絡と同じです。少しでも早くその顧客と連絡を取るなり訪問出来る方が、サービス向上にもなりますし、恐らく社員からも異論や不満は出なかったと思います。連絡付くのが遅れて現場で顧客に怒られるのは我々ですから。そういうのが嫌だと思う性格の人は、CEは向かないと思います」とコメントを頂きました。
仕事に真摯な姿勢を持つ加藤さんですが、昼ごはんを食べている最中に連絡が来ると少しイラッとしたそうです。
甘い思い出だけではなかったポケベル。今回の記事を担当した私は94年生まれの24歳であり、ポケベルは大人からの思い出話と図鑑でしか接点がありませんでした。
執筆にあたり、ポケベルの歴史を調べ数十人の人から話を聞かせていただきました。ポケベルに対して、仕事以外の思い出もある方もチラホラ。契約された数だけ、各々の思い出があります。
令和元年9月30日に歴史の一部となるポケベル。当時の思い出と一緒に「#ありがとうポケベル」でSNSに投稿してみるのも面白いかもしれません。
ジャーナリスト。ミレニアル世代の社会問題に興味がある。ネットメディアを中心に、記事の寄稿・取材協力を行っている。