(Photo by Jesus Merida/SOPA Images/LightRocket via Getty Images)
みなさん、こんにちは。微表情研究家の清水建二です。本日は、9月23日にニューヨークで開催された国連の温暖化サミットでのグレタ・トゥンベリ氏の表情分析を通じて彼女の心理及び私たちに与えるメッセージ性を考えたいと思います。
分析に用いた動画は、
「16歳グレタ・トゥンベリさん 温暖化対策で涙の訴え【全文】」テレ東ニュースです。
また、比較のために用いた動画は、
「環境活動家グレタ ・トゥーンベリ:『TEDxStockholm』プレゼンテーション」Himalaya Awarenessです。
結論から書きます。国連でのトゥンベリ氏のスピーチは、感情の高ぶりが大きいゆえ、私たちの情に訴える効果がある一方で、私たちの理に語りかける効果は不足している、と考えます。また今回のスピーチに比べ、TEDでのスピーチは、感情と言葉とが調和していることから、
今回のスピーチが特別なものであったと考えることが出来ます。
この結論に至ったプロセスは次の通りです。
感情の高ぶりが大きい様子は、怒り・嫌悪・軽蔑・恐怖と様々な感情を示す表情筋の動きが連続的に、ときに混ざり合って生じ、さらにとても強い表情筋の動きを伴って生じていることからわかります。
私たちが感情的になる、すなわち、表情が強く動くというときは、その対象を真剣に考えている、大切に思っている、そうした重大な変化のために行動を起こす、またそれらの想いを他者に伝えたいときです。
5分間のスピーチの中で、トゥンベリ氏の感情の高ぶりが最も大きいのは、前半1/3部分です。そのメッセージの要諦は、環境問題の解決を先送りし、自分の世代及び未来の世代に肩代わりさせようとしていることに憤慨している、というようにまとめられるでしょう。
典型的な表情の例として
0:00:45があります。
「眉が中央に引き寄せられる」+「上まぶたが引き上げられる」+「下まぶたに力が入れられる」動きから
怒り、
「鼻にしわが寄る」+「上唇が引き上げられる」動きから
嫌悪、
「左側の口角が引き上げられる」動きから
軽蔑の混合表情が生じていることが読みとれます。
こうした感情が、スピーチの中でときに同時にときに連続的に強い表情筋の動きを伴って何度も現れています。
環境問題の解決に明確な指針や行動を示せない私たちにその必要性を切に訴えるトゥンベリ氏の想いが伝わってきます。