たった1日の花見に5700万円使う安倍政権、千葉の災害に13億円。増税の前に「カネの使いみち」を厳しく監視しよう

トウモロコシを買うならトレーラーハウスを買えばいい

 トレーラーハウスは、家具、電化製品、キッチン、バスルーム、トイレ、もちろん冷暖房など生活に必要な設備が備わっている。そのまま移動できるので、陸上輸送できる範囲で被災地に近いところに急行できる。体育館で避難生活するという、非人間的な環境を長期間、強いる必要がなくなる。各地にあるキャンプ場などを整備しておけば災害の時にもすぐに使えるだろう。通常は国民に広くレジャーの拠点として使ってもらい災害の時には被災地として使えるように整備しておくのだ。  トレーラーハウス自体も平時は観光用の宿泊施設として使うこともできる。季節によって需要の高いところに移動もできる。東京オリンピック、パラリンピックの時には東京周辺で、大阪万博の時は大阪周辺に、秋の観光シーズンなどには宿泊施設が足りない京都、夏の東北三大祭りやよさこい祭り、札幌雪まつりなど、シーズンや行事で宿泊施設が足りなくなるところに移動させ、貸し出せばいい。地元の観光業はもっと多くの観光客をピークシーズンに呼べると喜ぶはずだ。各地の経済も潤う。  このように通常は観光用として大いに活躍してもらえば、トレーラーハウスに対しての支出も回収できる。また、災害時には国民の命と健康を守ることに迅速に対応できる。さらにトレーラーハウスは日本にも業者はあるのだが、何と言っても米国の得意芸だ。米国との外交上の関係を良好に保つために何か購入する必要があるのなら、トレーラーハウスを1万台くらい買えばいい。よく分からないトウモロコシや、多くの国民の理解を得たとは言い難い軍事防衛関連のものよりは容易に国民の賛同も得られるはずだ。

建てて壊す仮設住宅よりマシ!?

 日本は米国車の輸入が少ないとこの何十年もご立腹のワシントンの政治家たちも満面の笑みになるのではないか?トレーラーハウスは200万円くらいからあるが、400~500万円も出せば、なかなか立派なものが手に入ることも付け加えておきたい。米国や欧州ではそこを住まいとして使っている人も大勢いる。  800万円も出して仮設住宅を建設しまた壊し、そのたびに大量の廃棄物を出すよりもよっぽどマシだと思う。  トレーラーハウスだけでなく、東京オリンピックの時には臨時の宿泊施設に利用することが決まっている大型客船、それも国が災害用として購入すればいい。船には生活に必要な設備は全て備わっているのだから災害のあった近くの海岸に横づけし被災者にしばらく生活してもらえばいいのである。通常は民間に貸し出せる。短期間であればクルーズ船として利用してもらってもいいし、毎年増え続ける外国人観光客の宿泊施設としても利用することもできるだろう。これも使った金を回収していける。 建てては壊す仮設住宅よりもよっぽとましではないだろうか?  増税のたびに繰り返される、積極財政論者と健全財政論者の議論の前に、まずはカネを使うのなら本当に必要なものに上手に使う。その当たり前のことをしているか、国民も行政ももっとこだわるべきだと思うのだ。
さとうはるひこ●経済評論家、ジャーナリスト。1961年、東京都生まれ。慶應義塾大学商学部卒業、東京大学社会情報研究所教育部修了。JPモルガン、チェースマンハッタン銀行ではデリバティブを担当。その後、企業コンサルタント、放送作家などを経て現職。著書に『年収300万~700万円 普通の人がケチらず貯まるお金の話』(扶桑社新書)、『年収300万~700万円 普通の人が老後まで安心して暮らすためのお金の話』 (扶桑社文庫・扶桑社新書)、『しあわせとお金の距離について』(晶文社)『お金が増える不思議なお金の話ーケチらないで暮らすと、なぜか豊かになる20のこと』(方丈社)『日経新聞を「早読み」する技術』 (PHPビジネス新書)『使い捨て店長』(洋泉社新書)
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