文字がハングルである以外は日本と繁華街の雰囲気ともそれほど変わらないソウル市内。気軽に行き来できる距離であることもプラスだ
そんな悩みはあったが、生活は徐々に安定。今では斉藤氏も韓国での暮らしにも満足しているという。海外ではカルチャーギャップも当たり前。それを楽しめるかどうかは自分次第だ。
「やはり、海外移住の魅力は、日本で暮らしているときには絶対味わえないような経験をたくさんできるということだと思います。韓国は日本の隣国ではありますが、考え方が違う部分もたくさんあります。たとえば宅配便のおじさんが深夜23時に来て『ピンポーン』と呼び鈴を鳴らしたり、クレジットカードのサインをしようとしたら、お店の人が自分で勝手にサインをしていたり……。
また、韓国の車の窓には所有者の携帯電話番号が見えるようになっていて、個人情報が丸出しになっているのにも驚きました。いわゆる月極のような駐車場が少ないので、車を移動させたい人がいたら連絡できるようにしておくんです。そういったことをいろいろ経験していると、視野は確実に広くなります」
もし日本に暮らし続けていたら……。海外移住には、どうしてもそんな「What If」がつきまとうことになる。メリットやデメリット、満足度は移住する本人の思いはもちろん、移住先の国や地域、移住する年齢や家族構成によっても変わってくる。
「本音を言うと、子供たちにとって正しい選択であったかという点はいつも自問しています。たとえば、我が家の次男は、韓国の軍隊に行くことも覚悟しているのですが、そういった点で親として責任を感じる部分も大きいです。ただ、海外に住んでいると日本を愛する気持ちはむしろ強まりますね。日韓関係についても客観的に見ていきたいです」
日韓両国、そして大切な家族を愛しながら、今日も斉藤氏は移住生活を続ける。最後に、海外移住を考えている人へのメッセージをもらった。
「海外移住に対して強い気持ちを持っていらっしゃるのであれば、いろいろ困難なことがあっても、それを乗り越えることによって、日本では味わえないように面白い経験がたくさんできるはずです。
また、昔に比べればネットの環境が整うなど、遥かに海外移住はやりやすい時代になっていると感じます。私自身、戸惑うことも多かったですけど、そういった文化の違いを
ブログで紹介するなど、できるだけ楽しむようにしています」
<取材・文/HBO編集部>