高金利のベトナム定期預金が突如、外国人NGに。代替案をベトナム在住者と考えてみた

不動産投資にはそれほど旨味がない

 たとえばホーチミン中心街で2LDKのコンドミニアムを二千万円で買ったとしよう。在宅型で、一部屋を一泊25ドルで貸し、250日入れば6250ドルとなる。1ドル110円で計算すると二千万円は約18万2千ドルということになる。銀行の利子云々を除いても、元をとるのに29年かかる。確かに、この計算だとそこまでおいしい話にはならない。 「それに、不動産を買ってしまうと移動が制限されてしまいますからね。それなら、株に投資するほうが気楽ですよ」  確かに筆者も千葉県での一軒家購入を通じ、ある意味で合法民泊を運営する権利を買ったことになる。一方でこれからローンがあるため、筆者は数十年後に千葉県我孫子市民として死んでいくことがほぼ確実となった。どちらがいいかは、それぞれの考え方次第である。  次に検討するのは株だ。個々の株式銘柄に入っていくとキリがなくなってしまうので、ここでは初心者が最も入りやすいとされている「S&P500」連動型のETFについて検討してみることにした。  本年逝去したバンガード社創業者のジョン・ボーグルが最も簡単な投資として推奨していたのが、「広範な株式市場インデックスに連動する投資信託を、極めて低いコストで取得し、保有し続けること」だった。要は、株式市場全体を買ってしまえ、ということである。  長期にわたって株式市場に勝つ投資信託を選び出そうとすることは、セルバンテスの言葉を借りれば”枯れ草の山で針を探す”ようなものである。

ベトナムはインデックス投資に向いている!?

 そこで、ジョン・ボーグルは、こう注意勧告する。 「枯れ草の山で針を探すな。枯れ草を買え」(『インデックス投資は勝者のゲーム』ジョン・C・ボーグル著/パンローリング刊 pp.163) 「そういうインデックスで投資、というならインドとベトナムがいいかな、とは思いますね。伸びしろが沢山ありますから。中国は、今後一人っ子政策の影響で高齢化が急速に進むため、私自身は買いませんね」  無論、永遠に上がり続けることが約束されている株式など存在しない。ボーグル自身、いつかS&P500も下がると断言していた。宮内は、今後の値動きをどう考えているのか。 「米国市場はこれ以上伸びない、という方もいますが、私はそうでもないと考えています。たとえば、今ベトナムの田舎でヤシの実のジュースを飲んでいる子は、たぶん二十年後にはコカ・コーラを飲んでいるんですよ。同じく、オンボロスニーカーで走り回ったり、サッカーをしている子は、たぶんその頃にはナイキシューズを履くようになるんですよ。世界にはまだまだ発展の余地があり、米国ブランドが威光を発揮する可能性が高い、と考えると米国のインデックスファンドはまだまだ上がっていくというのが私の予測です」  投資はあくまでも自己責任だが、実績ある投資家の一つの見解としてお役に立てていただければ幸いな次第である。 <文/タカ大丸>
 ジャーナリスト、TVリポーター、英語同時通訳・スペイン語通訳者。ニューヨーク州立大学ポツダム校とテル・アヴィヴ大学で政治学を専攻。’10年10月のチリ鉱山落盤事故作業員救出の際にはスペイン語通訳として民放各局から依頼が殺到。2015年3月発売の『ジョコビッチの生まれ変わる食事』は15万部を突破し、現在新装版が発売。最新の訳書に「ナダル・ノート すべては訓練次第」(東邦出版)。10月に初の単著『貧困脱出マニュアル』(飛鳥新社)を上梓。 雑誌「月刊VOICE」「プレジデント」などで執筆するほか、テレビ朝日「たけしのTVタックル」「たけしの超常現象Xファイル」TBS「水曜日のダウンタウン」などテレビ出演も多数。
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