10月から始まる幼保無償化、浮いた保育料で砂場セットを寄付。広がる支援の輪。
10月1日から幼保無償化(幼児教育・保育の無償化)が始まる。幼稚園、認定子ども園の教育費、保育所の保育料が一部、無償になる制度だ。消費増税による税収を還元し、子育て世代の教育費の負担を軽くする目的のほか、すべての家庭が質の高い教育を受けられるようにしたり、少子化に歯止めをかけようとしたりする狙いがある。
無償化スタートを前に、東京都杉並区に住む女性がとった行動がネットで注目を集めている。4歳のお子さんを持つりくボーさんは、無償化された分のお金を使い、新設された保育園に備品を寄付。8月下旬にそのことをツイートしたところ、たくさんの好意的な反応があった。寄付をしようと思いついた背景には、どんな想いがあるのだろうか。話をうかがった。
杉並区は近年、積極的に保育園を増設して定員を増やし、2018年、2019年は2年連続で待機児童ゼロを達成した。しかし、認可保育園に申し込みをしても入所できない、いわゆる“潜在待機児童”は数多く存在する。
また、りくボーさんが懸念するのは、保育の質の違いだ。
「認可保育園の中でも、園庭の有無、部屋の面積、保育士さんの勤続年数や専門性、子どもたちに目の行き届く人数配置なのかには差があります。私は保活を3年行い、その間にいろんな保育園を見学した中で、こういった差を目の当たりにして愕然としました。全員が入園できるわけでも、希望に沿った保育園を選べる状況でもありません。どこに入園できるかの運次第で、子どもが過ごす環境に差が生じてしまうのはおかしいと思います」
保育の受け皿確保と同時に、質の確保もまた、進められるべきものだ。
りくボーさんは保活を「本当に苦しかった」と振り返る。0歳入園が厳しかったことから、1歳4月での入園を目指したが、認可保育園は高倍率で結果は惨敗。通勤途中まで範囲を広げても預け先は見つからなかった。
その後、お子さんは通勤途中にある認証保育園(東京都が独自で定めた基準を満たす保育園)に入れることになったため、電車で登園することになる。これはりくボーさんにとって大きな負担だった。
「保育園までは自宅の最寄りから4駅離れていて、乗り換え時間を含めると20分ほどかかりました。この電車登園を1歳クラス、2歳クラスと2年間続けたんです。
通勤時間帯は混雑しますし、毎日通うのはきつかったですね。イヤイヤ期真っ盛りのときは大人しく電車に乗りませんから」
自宅から近い認可保育園に転園すべく、りくボーさんは月に1〜2日有休を取りながら、保育園見学を続けた。
「ただでさえ子どもの看護等で頻繁に有休を使うのに、さらに有休を申請することに、申し訳なさでいっぱいでした」と、職場への気まずさと折り合いをつけながら保活に取り組んだ。
「認可保育園間での環境の差」に疑問を感じた
2年間の満員電車の登園「きつかった」
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