ラジカセにレコード。「あの頃」を知る世代に刺さる!
ラジオエルメスのエントランス。内部は果たして……
局舎の1階に入ると、まず目に入るのが
1970年代の古いラジカセとメンズコレクションのバッグを融合した展示や実際のファッションショーで使用されたBGMを聴取することが可能な「
レコード棚」だ。
懐かしい雰囲気のレコードジャケットたちはエルメスのメンズスカーフ柄をあしらったもの。ジャケットに収められたレコードの円盤を通して、それらのデザイナーの名前や公開されたショーの開催時期を知ることも可能となっている。
70’sのラジカセとメンズコレクションのバッグを融合した展示
そう、エルメスメンズがターゲットとするのは、こうした「レコード」や「ラジカセ」に親しんだ世代。そして、1970年代といえばニッポン放送
「オールナイトニッポン」や文化放送
「セイ!ヤング」などといった番組が若者に人気を集め
「深夜ラジオブーム」を巻き起こした時期だ。だからこそ、Youtubeなどを用いたネット動画配信よりもあえて「ラジオ放送」という形式にこだわったのではないだろうか。
エルメスのメンズスカーフ柄をジャケットとしたレコード。
クレードルにジャケット置くとヘッドホンを通して聴取可能という「ハイテク仕様」だ。
一方で、2階のメインコンテンツは打って変わって「
VR」。このVRコンテンツのコーナーでは、ラジオエルメスオリジナルのライブパフォーマンスなどが提供されている。
また、ラジオエルメスがテーマの1つとしている「旅」を意識した展示や、レザー、カシミヤなどといったエルメスが用いる「素材」に対する展示も行われており、「最新技術」と「昔から変わらないこだわり」の両方が合わせて感じられる展示内容となっている。
実際のファッションショーで使われる素材を用いたレコードジャケット。
ラジオエルメスの「局舎」である「ラジオエルメス ポップアップラジオステーション」の営業期間も、
ラジオエルメスの放送期間と同様に9月29日までとなっている。
通常のブランドのポップアップショップとは一味違ったユニークな試みとなった「ラジオエルメス」。ぜひ東京・原宿のスタジオに訪れ、新たな発信スタイルによる「エルメスのメンズの世界」を感じ取ってみてはどうだろうか。
<取材・文・撮影/淡川雄太 若杉優貴(都市商業研究所)>
若手研究者で作る「商業」と「まちづくり」の研究団体『
都市商業研究所』。Webサイト「都商研ニュース」では、研究員の独自取材や各社のプレスリリースなどを基に、商業とまちづくりに興味がある人に対して「都市」と「商業」の動きを分かりやすく解説している。Twitterアカウントは「
@toshouken」