セブン-イレブン・ジャパンは「独占禁止法に違反」。オーナーらの主張を解説

集団申告を終えたセブンイレブンのオーナー

公取委での集団申告を終えたオーナーら

 9月11日、セブン‐イレブンのオーナーら8人が東京・霞ヶ関の公正取引委員会を訪れ、株式会社セブン‐イレブン・ジャパンが独占禁止法に違反しているとして、集団申告を行った。申告を呼びかけたのはセブン本部社員の河野正史さんが委員長を務める、コンビニ業界の労働組合・コンビニ関連ユニオン。  コンビニ関連ユニオンは、どのような理由でセブン-イレブン・ジャパンが独禁法に違反していると主張しているのか。申告書の6つの要点に沿って、以下で説明していく。

24時間営業の強制、時短するとチャージ料引き上げ

(1)24時間営業の強制は優越的地位の濫用である (2)実験的時短後、時短を継続する場合はチャージ料を2%引き上げられてしまう規定は優越的地位の濫用である  この2点についてはまとめて説明した方が分かりやすいだろう。ある程度の年齢層の方なら、セブン‐イレブンのCMといわれれば「開いててよかった」というキャッチコピーを思い出すはずだ。しかしこのキャッチコピーが使われたのも今は昔。現在はコンビニといえば24時間営業が当たり前、「開いててよかった」ではなく「開いてないとおかしい」という認識を持っている人も少なくないのではないだろうか。  しかし、セブン‐イレブンの契約を確認してみると、実はオーナーには、24時間営業は義務付けられていないという。同ユニオン副委員長であり前橋荻窪町店のオーナーでもある永尾潤さんは会見で次のように語った。 「24時間営業は義務ではない。現在でも基本契約としては朝7時から夜11時という時間帯が設定されている。24時間営業に関する規定はあくまでも補助契約であり、これを実施すればチャージ料(店舗売上の中から本部へ支払う手数料)を2%引き下げる、というのが契約の内容だ」  意外なことに、今でも基本契約としてはセブン‐イレブンという名前の通りの朝7時から夜11時という時間帯が定められているのだ。しかし実態はどうなっているかと言えば、あくまでも補助契約である24時間営業が実質的に義務と化し、それを履行した際の特別待遇であるはずのチャージ料2%減が「24時間営業をやめる場合はチャージ料を2%引き上げる」という脅し文句として機能してしまっている転倒した状況がオーナーに圧し掛かっている。  これは優越的地位の濫用(取引において相手よりも優越した地位を持つ一方の当事者が、その地位を利用して、正常な商慣習に照らして不当な不利益を相手に押し付けること)である、というのが(1)と(2)における同ユニオンの主張だ。

使えない「オーナーヘルプ制度」

(3)オーナーヘルプ制度が機能していないのは欺瞞的顧客誘引に該当する  オーナーヘルプ制度とは、オーナーが何らかの都合で不在の場合に本部社員が営業を代行する制度である。これについては過去に「オーナーが語る、セブンイレブンの機能しない『オーナーヘルプ制度』」でも詳報しているが、こちらで掲載したオーナー向けの資料には「冠婚葬祭や旅行、病気などでオーナーさまが不在の場合に営業を代行するオーナーヘルプ制度」とある。  しかし、上掲の記事を見ても分かるように、オーナーヘルプ制度は実質的に機能していないというのが今回の申入の内容だ。オーナーのNさんは会見で次のように語った。 「店を開いた当時、妻がガンだった。本部からは年に2回、1回あたり7日間のオーナーヘルプ制度を利用して休むことができると説明されており、それで安心してオーナーになることを決めた。しかしあとになってヘルプ制度の利用を却下され、話が違うじゃないかと。オーナーとして働き始めてから妻を亡くしてしまったのだが、多忙で葬式をあげられず、一ヶ月半ドライアイスを棺のなかに入れて遺体を安置した。親族からは相当責められることになった」  オーナーヘルプ制度については、今年6月下旬にセブン‐イレブン本社が適用範囲から旅行を削除する内規の変更をオーナーへの通告なしに行い、これを告発されたことを受けて再び書き加えるなど、混乱が相次いでいる。今月13日の『めざましテレビ』の報道でも、オーナーヘルプ制度が7年間却下され続け、週6日で午前0時~午前6時の間働くことを余儀なくされていた状況がとあるオーナーによって暴露されていた。  本来ならばオーナーの日々の生活を支える大きな役割を果たすべき制度が有名無実化してしまっている現状は明らかに問題であり、また、それを売り文句にしてオーナーにフランチャイズ契約を持ちかけている本部社員のやり方は「欺瞞的顧客誘引」(実際よりも有利な条件を事実としてそうであるかのように相手に誤認させ、他の競争相手ではなく自らとの取引へ顧客を誘引すること)に当たる――これが同ユニオンの(3)における主張だ。
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本部の社員がオーナーに無断で商品を発注
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