“ながらスマホ”専門の当たり屋を直撃!「3年で5000万円を荒稼ぎした」

「ながらスマホ自転車が厳罰化されないなら、まだまだやる」

 A氏曰く、彼らに共感した当たり屋は全国で20名ほどに増えているとのこと。 「問題は、悪質なケースのみターゲットにするというルールを設けているのに、守らないヤツもいるのでコントロールするのが大変になってきてます。自分たちはもう十分に稼いだことですし、今年の12月から”ながらスマホ”の運転は厳罰化されますから、そろそろ潮時なのかなと考えてます。ただ、スマホ自転車に対する厳罰化は見直されないようでしたら、まだまだ自分たちの出番かもしれません」  ところで、毎回高級腕時計を身に着けて破損させていると、保険会社は疑問に思わないのだろうか? 「確かに、たまに言われますね。『ちょっと前にも同じ形で接触事故に遭遇してますが、腕時計をいつも身に着けているんですか?』って。当然、『腕時計が趣味ですから』で押し通してます。高級腕時計のコレクターや好事家は世の中に多いので腕時計=身に着けるものとの考えがありますし、壊れたままの腕時計を付けていたことは保険会社は立証することができません。警察は基本、民事不介入ですし、保険金の支払いを渋りまくる保険会社に対するカウンターの意味もあるんです。ただ、保険会社からしたら、何で毎回同じ人間が被害者になって、毎回腕時計壊されているんだと思っているはずです(笑)」(B氏)

「自分たちがやっているのは、世直しです」

 B氏はさらに「メンバーからは、アドバイス料も含めて利益の10~20%しか貰ってないんです」と話す。スキームの内実はこうだ。 「僕らのほうで激安で入手したジャンク品の高級腕時計を当たり屋メンバーへまず発送します。そして、”ながらスマホ”の人と接触転倒し時計の修理費用を請求。修理が完了した高級腕時計を専門業者などへ売って得た金額から10~20%をこちらへ納める形になっています。3000円程度で入手したジャンク品の高級腕時計が完品可動状態で修理を終えて戻ってきますので、余裕で100万円以上で売れたりすることが多い。だから、上納させるお金はこれぐらいのパーセンテージにしているんです」  2人は3年間で、合計5000万円以上荒稼ぎしたという。彼らは今後、そのカネを元手に富裕層相手に高級腕時計輸入販売ビジネスを展開していく計画もあるそうな。「修理費用の見積もりなども含め、学んだ部分が大変多かったですから」という。  最後にA氏は、「自分なりの正義」としてこう主張した。 「世間からしたら詐欺だと思いますし、悪いことをしている自覚はありますよ。でも、まず国は”ながらスマホ”の歩行者にも厳罰適用するよう動くべき。”ながらスマホ”による死亡事故が年々増加している現実を知らないのでしょうか。”ながらスマホ”の人にはぜひ、考えを改めてほしい。学生時代から海外に行きまくって気付いたのは、日本ほど加害者に責任が問われない国はないってことなんです。不思議で仕方ない……本当におかしな国ですよね」 <取材・文/ジャンクハンター吉田>
交通ジャーナリスト、映画コラムニスト。交通関係では三才ブックス『ラジオライフ』を主軸に執筆しつつ、『WEB CARTOP』『週刊プレイボーイ』『FRIDAY』『Abema Prime』などへ登場の他、まぐまぐのメルマガにて『疑問だらけの道路交通法』を毎週金曜に発行中。映画関係ではBS10スターチャンネルで放送中の映画情報番組『映画をもっと』にレギュラー出演など。
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