ZARA、キューバの弱小アパレルのデザインをパクった疑惑。パクられ側はユーモアで応戦

ユーモアでパクリに対抗。弱小ブランドの気概

 しかし、制限のある国で奮闘してきたクランデスティナは黙っちゃいなかった。それをユーモラスに訴えてそれを逆手にとって利用することが出来ると考えたのだ。彼らがデザインした標語は「Actually, zarita, tienes que parar」。それをプリントすることに決めたそうだ。ZaritaというのはZARAの縮小辞。tienes que pararというのは「(コピーするのを)止めねばならない」という意味だ。(参照:「El Mundo」)  デジタル紙『Diario de Cuba』もZARAの親会社インディテックス(Inditex)にこのコピー問題についての問い合わせをしたそうだ。しかし、回答はなかったという。  クランデスティナのマーケテイングを担当しているフェリックス・ゴンサレスは今回コピーされたことについて、「キューバのデザインが国際的にも力をつけていることを示すものだ分析すべきだ。(我々の)標語はグローバルに大衆を引きつけるのに意味あることを立証している」と19日付け同紙で述べた。(参照:「Diario de Cuba」)  同様に、フェルナンデスも「上手くやっていれば、これがコピーされる最後ではないであろう。消費者がそれを認めてくれている、我々の顧客や友達が『どうしたんだ』と心配してくれる。それが我々に更なるエネルギーを与えてくれる」と述べて、問題はないとした。(参照:「El Mundo」)

なくならないZARAの「模倣」問題

 600人のデザイナーを抱え年間で新しいモデルとして5万着を市場に提供しているインディテックスにとって他社のモデルをコピーするのは朝起きて顔を洗うようなもので日常茶飯事の習慣となっている。彼らにとって一つや二つコピーしたところでそれは彼らが毎年市場に出す新しいモデルの小数点以下のパーセンテージでしかないのだ。  ファストファッションは他社に先駆けて大量に生産して短時間で市場に提供する。この繰り返しである。しかし、それは大半のアパレル企業にとってはモラルに欠ける行為でしかない。  一方、消費者にとってはデザインがコピーされたものであろうと素敵でしかも価格が安ければ購入の対象になるのである。コピーされた商品だから購入しないということはない。(参照:「Libre Mercado」)ここに、ファストファッション企業による「デザイン模倣」問題が根絶しない要因があるのだ。
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身
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