キャンプブームで急増中! 迷惑キャンパーのトンデモ行動に驚愕

 芸能人のキャンプ動画やアニメの影響、キャンプ関連メディアがもたらす情報、高機能ギアの充実など複合的要因により、盛り上がりを見せるキャンプ界隈。その陰で困った事態が進行していた!
キャンプ

y-ka10 / PIXTA(ピクスタ)

日本アウトドアの知られざる危機!?

 キャンプシーンが盛り上がりを見せている。週休2日制が導入された1990年代を第1次キャンプブーム、現在を第2次ブーム、あるいは第3次ブームと呼ぶ向きもあるほどだ。日本オートキャンプ協会が毎年発表している「オートキャンプ白書」によると、オートキャンプ参加人口はここ5年で右肩上がりの100万人増。昨年は850万人に及んでいる。 「これは一過性のブームではなく、家族はもとよりソロや女性同士であったり、釣りや登山といった他のアウトドアと組み合わせるなど、キャンプの楽しみ方があらゆる方向に広がった結果だと我々は考えています」  そう語るのは、日本オートキャンプ協会の堺廣明氏。盛り上がりに伴い、キャンプギアの輸入総額や用品メーカー、アウトドアショップの売り上げも総じて堅調な伸びを見せているという。

湖の水で洗車。閉鎖したキャンプ場も

 その一方でマナー違反の利用者も目立ってきている。「キャンプ場規定の就寝時間を過ぎても音楽を流して騒ぐ輩がいる」といった不満が、キャンプサイトの口コミでも目につく。なかには雨をしのぐためかトイレ内にテントを張り、ほかの利用者を困惑させる珍行動も。毎年、キャンプツーリングで日本を縦断しているという志田文雄氏(仮名・48歳)によると、今夏こんなことがあったという。 「仲間同士だけで楽しみたいからか、キャンピングカー数台がキャンプサイトを取り囲むように駐車していて封鎖状態にあり、お目当てのキャンプ場に入れなかったんです」  該当のキャンプ場は管理者が常駐していないタイプだったそうで、そういったキャンプ場は自治体が管理しているケースが多い。電話やメールなど方法はさまざまだが、大抵は簡単な申請手続きで美しいフィールドとともに炊事場やトイレを利用することができる。料金は無料か数百円と安価。そんなありがたい場所こそ、立つ鳥跡を濁さずの精神でキレイに利用したいものだが……。 「湖畔のキャンプ場で、湖にクルマごと乗り入れて洗車をしていたキャンパーや、合成洗剤の使用を禁止している炊事場でクレンザーを使ってBBQコンロを洗ったりする人もいます」と過去の目撃例について話すのは、SNSなどで積極的にマナー問題を発信しているキャンプコーディネーターの佐久間亮介氏。  キャンプ場では利用者がゴミを持ち帰るようルール化している場所も多い。しかし、ゴミを放置して炊事場を詰まらせる、その場に放置したゴミを野生動物が荒らす、曲がったペグをそのまま捨て置き、子供がつまずいてケガをしたという例もある。ゴミマナー悪化の最たる例は、今年1月にキャンプ場の一時閉鎖を決めた兵庫県猪名川町の大野アルプスランドだろう。  管理を担っている町では、注意喚起のために利用者が放置したゴミの写真をホームページ上に掲載している。現在も再開の目途は立っていないと担当者。今年8月には東京都も来年3月までに神津島のキャンプ場2ヵ所を廃止すると発表。キャンプ場閉鎖の多くは施設の老朽化や後継者問題だが、マナーの悪化が最悪の事態を招いた格好だ。観光立国の先駆けヨーロッパには、「ツーリズモフォビア(観光恐怖症)」という造語がある。  最初は観光客の増加を喜んでいた地元住民が、オーバーキャパシティによって暮らしの質が悪化したと感じたり、訪問者が観光を楽しめないと感じるに至ることを指す言葉だが、このままでは日本のキャンプ場でも同じように感じる人が出てきてもおかしくない。
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直火を禁止するキャンプ場が増加
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