LETS仙台 – 宮城県仙台市の女性用ケアハウス
以前、当サイトにおいて配信した『
終わりなきカルト2世問題の連鎖<短期集中連載・幸福の科学という「家庭ディストピア」1>』という記事で、幸福の科学2世信者の貧困問題に触れた。いま「カルト問題」への取り組みの中から、貧困問題への取り組みを本格化させようとする動きが起こっている。今年5月に宮城県でスタートしたケアハウス「
LETS仙台」だ。現在、維持費捻出のためのクラウドファンディングを実施している。
「カルト問題」と貧困の関係は、今に始まったことではない。カルトに財産を根こそぎ奪われる信者、献金や宗教活動の影響で家計を圧迫される信者家庭、カルトをやめても貯金もなく職探しに苦労したり体調を崩すなどして生活がままならない脱会者(だからこそ脱会しにくいという事情もある)、教義に基づいた親からの教育や入信・宗教活動の事実上の強制などに耐えられず家を出て住居や仕事に困る2世信者──。カルトの周辺には、様々な構図の貧困が常につきまとっている。
第三者が、こうした事情を頭では理解することはできても、その苦しさを実感として完全に理解するのは難しい。私自身、どんなに取材を繰り返しても完全な理解や共感は不可能ではないかと思えるほど深刻で複雑だ。体験や悩みの内容の個人差も大きいのだから。
カルト問題の現場では昔から、カルトをやめた人々を対象としてケアハウスを運営するという活動があった。現在それを行っているのが、2007年に福島県白河市で「
いのちの家LETS」を開設した日本基督教団白河教会牧師の竹迫之氏だ。自身が、2世ではないがかつて統一教会に入信した経験を持つ。
その竹迫氏が顧問となって新たに設立されたのが、対象をカルト被害者に限定しないケアハウス「
LETS仙台」だ。所長は、白河のLESTで3年間活動してきた社会福祉士の松田彩絵氏が務める。
LETS仙台所長で社会福祉士の松田彩絵氏
「もともと白河のLESTでも、カルト被害とは無関係の方からの相談もあり、入居したケースもありました。こうした支援活動を通じて、カルト被害者や2世が脱会後に抱えている課題とカルトと無関係に虐待を経験した人の課題がよく似ていることを痛感しました。貧困の問題だけではなく、たとえば人間関係の構築が不得手であるとか、そういった点も含めてです。また、たとえば子供がギャンブル依存だったり親に暴力を振るうといったケースでは、親のほうが『自分さえ我慢すれば何とかなるのではないか』と自分を攻めることがあるのですが、これもまた子供がカルトに入ってしまったという親御さんにも見られる傾向だったりします」(松田氏)
原因がカルトであろうがなかろうが、結果として目の前に横たわる課題は共通しているというのだ。