「イージス・アショア」の配備候補地となっている陸上自衛隊新屋演習場(時事通信社)
前回は、秋田配備イージス・アショアに対して示された秋田県有権者の民意をご紹介し、論考しました。またイージス・アショア日本配備の真の意味は、安倍晋三氏の私的な社交すなわち
「安倍社交」におけるトランプ氏への貢ぎ物であって、前代未聞の顰蹙ごとであった大相撲千秋楽の枡席買い占め*や、すってんころりんゴルフ**と全く同列であると指摘しました。
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“トランプ氏、升席で観戦へ=大相撲千秋楽、安倍首相が提案:時事ドットコム” >
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「トランプ氏、安倍首相が転ぶ瞬間を完全に見逃す」海外で報道2017/11/11 ハフポスト”>
このような個人の私的社交に献身せねばならない防衛官僚の心中を察するに、全くやる気も起きないことと思います。一方で自衛隊は、ますます役に立たないヘンテコ正面装備ばかり買い集められ、もはやカタログ自衛隊まっしぐらです。しわ寄せは自衛隊員に行くわけで、先が思いやられます。そして全く無意味な
外国防衛専用装備に1兆円とも更にそれを超えるとも考えられるお金を支払い、人類史三番目四番目の核攻撃対象となる日本市民には、無残という言葉しかありません。
イージス・アショア秋田配備計画を中心にここ3か月間で露呈した防衛官僚の無様な数多くの失態は、その士気(morale;モラール)の崩壊ぶりを如実に表していると言えるでしょう。
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さて防衛省のイージス・アショア配備予定先自治体、市民への説明で、数多くの誤りが発覚し、秋田県では参院選の結果を動かすまでの影響がありました。その中で最大の批判を浴びたのは、分度器と定規を使い、紙の上で作図して誤った角度を割り出した(検算した)というものでした*。
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防衛省報告書、グーグルアースプロと酷似 初歩的ミスか2019/06/08朝日新聞、
高さ誇張された断面図、分度器で測る? イージスずさん調査2019/06/06秋田魁新報>
ミサイル防衛基地の配備場所決定に分度器とプリントアウトというアナログぶりがウケたのか、「
分度器プリントアウト防衛省」と嘲笑されましたが、そこは関係ありません。
そもそも方位仰角距離は、砲術における弾道計算の基本中の基本で、もともとは三角関数とデバイダ(カラス口)、三角定規、分度器で行ってきたものです。そこに機械式計算機(日本で有名なのがタイガー計算機)が加わり、アナログコンピュータである射撃指揮装置が発達し、計算速度が要求されるジェト機・ミサイル時代となり、電子計算機へとつながっています。
実際本連載
第9回執筆において私は、基本的に手計算を行い、逆三角関数については計算機を用いています。有効数値一桁二桁程度の粗い計算ならば、定規、デバイダ、手計算の方が場合によっては圧倒的に早いですし計算過程がブラックボックス化しませんので誤りを見つけることも容易です。ですから
プリントアウト、分度器、手計算はおかしくはありません。但し、どのような計算手段をとるにしても検算ほかダブルチェック、トリプルチェックは欠かせません。
では何がいけなかったのでしょうか。
執筆時に使っている計算紙の一例(計算紙などは、しばらく保存している)。分数の使用は、たいへんに好ましくないので、学生時代なら一喝されている。写真は、第9回執筆時と旅先で使ったもの