さて、Android のデザート名を見て来たが、デザート名が変わるタイミングには、メジャーバージョンアップなど大きな変化がある。そこでそれらをたどりながら、Android の進化の歴史を見ていこう。
◆2.0 – 2.1 Eclair(エクレア)
Android の最初のメジャーバージョンアップ。内蔵フラッシュのサポートやデジタルズームなど、カメラアプリの機能が大幅に強化された。スマートフォンのカメラ機能が、今では必須のものだということを考えれば順当な進化だろう。このあともカメラの機能は延々と改良され続ける。
また Eclair では、複数の解画面像度がサポートされ、Bluetooth 2.1 のサポートなどがおこなわれた(参照:
INTERNET Watch Watch、
Android 2.0 Official Video – YouTube)。
今から考えると、バージョン1の頃には、そうした機能がなかったのだと驚かされる。Android もスタート時点は、かなりこじんまりとしたOSだったことが分かる。
続くマイナーバージョンアップの2.2「Froyo」、2.3「Gingerbread」では、性能の強化が多くおこなわれている。2.0「Froyo」では、Java や JavaScript の高速化、そしてテザリング対応、2.3「Gingerbread」では、ゲームのための反応性向上がおこなわれた。
◆ 3.0 – 3.2.6 Honeycomb(ハニカム)
メジャーバージョンアップということで、大きな変更がおこなわれた。目玉は
タブレットへの対応。3.Xはタブレット専用のOSになった。そして大画面を想定したユーザーインターフェースに改良された。
個人的には、スマートフォンとタブレットでOSが分岐するということで、かなり戸惑ったことを覚えている。
◆4.0 – 4.0.4 Ice Cream Sandwich(アイスクリームサンドイッチ)
3.0で分岐してしまったスマートフォン向けとタブレット向けのOSが、3系ベースで統合された。2つのOSがあると開発コストが倍だと思っていた開発者は、UIが統合されたことで胸をなで下ろしたかもしれない。4.Xの頃から、現在のAndroidに近いものになったという実感がある(参照:
About)。
また、4.4「KitKat」から「OK, Google」の呼びかけで、音声操作がおこなえるようになった。
◆5.0 – 5.1.1 Lollipop(ロリポップ)
このバージョン以降は、メジャーバージョンアップとコード名が一致するようになる。Lollipop の見た目の大きな違いは、
マテリアルデザインと呼ばれるデザイン体系を採用したことだ。
マテリアルデザインは、この時期に流行っていたフラットデザインの反省に立っていると感じた。アニメーションや影などを採用することで、直感的に分かりやすいデザイン体系となっている。
また、大きな変更点としては
64bitへの対応だ。今後出てくる端末の機能を最大限発揮するためだ。地味だが重要な変更点は、
WebViewの更新がOSから分離したことだ。セキュリティ上の問題が発生した際に、Webの表示機能のみバージョンアップすることが可能になった(参照:
すまほん!!)。
◆ 6.0 – 6.0.1 Marshmallow(マシュマロ)
メジャーバージョンアップなので、多くの変更が入っている。個人的に一番大きいのは、
アプリのアクセス権を管理する機能だと考えている。これまでインストール時に一括で許可していたアクセス権を、きめ細やかに設定できるようになった。また指紋認証にも対応した(参照:
Android – Android 6.0 Marshmallow)。
◆7.0 – 7.1.1 Nougat(ヌガー)
大きな変更点はマルチウィンドウがサポートされたことだ。他にはテキストやアイコンなどのサイズのカスタマイズが、OS側で一括でできるようになった(参照:
Android – Nougat、
価格.comマガジン)。
◆8.0 – 8.1 Oreo(オレオ)
小窓で動画を再生する
ピクチャー・イン・ピクチャーの機能がスマートフォンでも利用可能になった(参照:
携帯総合研究所)。さすがにこの頃になると、大きな変更はなく、使い勝手や性能といった、小粒な変更が中心になってくる。
◆9.0 Pie(パイ)
画面下部でシステム操作をおこなう領域に変更がおこなわれ、
新しいナビゲーションバーとなった。ただ、端末メーカーが採用していないケースも多いために、変更を体験している人とそうでない人がいる(参照:
ITmedia Mobile)。その他にマルチカメラのサポート、屋内での位置を正確に特定する機能などが追加されている(参照:
携帯総合研究所)。
今回、Android の各バージョンの紹介記事や、本家の宣伝ページを読み直していて気付いたのは、多くのバージョンでバッテリーの改善をうたっていたことだ。スマートフォンは主に外出時に使う。そのためバッテリーの持ちが、そのまま価値に直結する。
徐々に高度化していく機能を盛り込みながら、電池を消費しないように改良し続けるのは骨が折れるだろう。こうしたたゆまぬ努力が、新しい機能を追加する余地を作っている。
Android 10 は、大きな節目のバージョンとなる。Android 10 で、さらにスマートフォンが使いやすくなることを期待している。