新興国以上のリスクもあるがリターンもでかい!? 「フロンティア市場」の可能性

 ロシアのクリミア半島への侵攻以来、政情不安のイメージが根強いウクライナだが、実は投資対象国としては「穴場」になっている。しかし、そんなウクライナをしのぐ国も!? 「フロンティア市場」の可能性を追った。

ピラミッドでおなじみのエジプトは毎年、約300万人ずつ人口が増え続けている。人口ボーナスは大きな魅力だ

ウクライナをしのぐ国も!? 「フロンティア市場」の可能性

 草創期だからこそリスクは高いが、得られるリターンもそれだけ大きい―。  新興国市場に続く投資先として注目を集めているのが、経済発展が初期段階にある国で構成される「フロンティア市場」というカテゴリーだ。統一された定義はないが、新興国に属さない発展途上国の市場がフロンティア市場と呼ばれているという。フロンティア市場にはウクライナも含まれるほか、属する国として、アジアのベトナムやバングラデシュ、アフリカのナイジェリアなどが挙がることが多い。また、中南米や中東、東欧の国もフロンティア市場に含まれ、いってみれば将来の新興国候補といったところだろう。過去に紹介したウクライナのように、一般的には「そもそも投資できるのか?」といった認識だろうが、各国のポテンシャルは高いという。  世界の投資情報を配信するワールドインベスターズTV代表の石田和靖氏は、次のように話す。 「フロンティア市場に属する国の多くは右肩上がりで人口が増え続けており、経済成長に有利な要素となります。一方で政治や経済が不安定であるうえ、市場の流動性が低いというリスクはありますね」  また、発展途上国ならではの公開情報の少なさもデメリット。不十分な情報の中で投資を行うリスクが常に伴う。 「要はハイリスク・ハイリターンの投資なわけですが、儲け狙いありきで途上国に投資をするのは間違ったスタンス。まずはその国や人々に関心を持ち、応援するような気持ちで成長に期待しながら、投資を行うべき。その国自体に興味を持つことによって、多面的な情報を入手することができ、投資の成功の確率も高まります」  そんな石田氏が注目するのが、次に紹介する3か国だ。なかなか投資するにはハードルが高いのは事実だが、知っておくにこしたことはない。それぞれの注目ポイントを紹介していこう。

エジプト……新首都の発展とともに投資チャンスも拡大する?

人口増加に伴い、カイロでは交通渋滞と住宅不足が深刻化。遷都を余儀なくされた

 新首都・ニューカイロに遷都する準備が進んでいるエジプト。エジプトの人口増加率は約3%で、毎年約300万人が増加している。それに伴い不動産需要が高まっており投資チャンスが存在する。 「従来の首都カイロは自然災害や戦争に巻き込まれたことがないので、ずっと右肩上がりで人口が増え続けてきました。カイロには政府や企業、商業施設、その他インフラも集中しており、人々が多く居住しているんです」とは、前出の石田氏だ。  カイロでは、1世帯当たりの出生数は4.5人。これだけ人口が過密すると、一極集中による慢性的な交通渋滞や住宅不足が社会問題となっていた。これを解決すべく、ニューカイロの開発が始まった経緯がある。

新しい首都になるニューカイロ。オフィスビルやビジネスセンター、住宅などの建設が進んでいる

「ニューカイロは、カイロ中心部から東に45㎞の場所にあります。ここにすべての政府機関、欧米の大学や研究機関、外資系のホテルなどが置かれます。そして、新首都に居住するのは主に富裕層。そんな彼らに向けて、居住用の物件が売りに出されています」  ニューカイロの不動産価格は日本円換算で、アパートが1㎡当たり1万3800~11万1360円、ヴィラが2万5200~12万1500円。単純計算で、100平㎡の高級ヴィラが1200万円ということになる。かなりお手頃な印象だ。 「エジプト政府は海外からの投資を積極的に呼び込んでいるので、日本人でも購入することができます。ただし、一定期間が過ぎるまで、売却することができません。当面は賃貸に出して家賃収入を得て、それから売却するという投資手法ですね」  エジプトはスタートアップ支援にも力を入れている。今後、発展するのが確実な新首都の物件である。大きな売却益をもたらすのは間違いない。 <エジプトDATA> 人口●約9304万人 首都●カイロ 言語●主にアラビア語 通貨●エジプト・ポンドとピアストル GDP●2357億米ドル
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アゼルバイジャン、ナイジェリアにも注目
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