スペイン各紙報道から見る、レアルの久保がマジョルカ移籍を決めた理由とは?

エルコンフィデンシャル紙

久保のマジョルカ移籍を報じるエルコンフィデンシャル紙

 今期からレアル・マドリードでプレーすることになった久保建英はシーズン開幕となった途端に1年の期限付きでマジョルカでプレーすることになった。なぜ、最初にレアル・マドリードの2軍チームのカスティーリャでプレーすることを蹴ってマジョルカでプレーすることに決めたのか?

少しでもレベルの高い戦いを求めて

 その一番の理由は久保の向上心の高さである。日本代表選手がスペインリーグの2軍チームでプレーすることは本人の為にならないと彼自身が考えたようである。バルセロナに復帰するのを蹴った理由も、バルセロナが提示した年俸がレアル・マドリードのそれよりも半分以下であったことも理由のひとつだが、それ以外にバルセロナは初年度は2部リーグでプレーし、1部リーグでのプレーの可能性を否定していたからであった。しかも、今期のカスティーリャはスペイン2部リーグでもBクラスということで、日本でいえば3軍のリーグ戦に相当することになる。  更に問題はジダン監督の姿勢である。ジダンは若い選手にチームの運命を託すという考えではなく、経験を十分に積んだ選手に頼ろうとする傾向にある。未知数の若い選手を試合でプレーさせるということを嫌がる監督だ。彼にとって大事なのは選手に実績があるか否かということなのである。だから、久保のシューズにはマジックが秘められているとして彼のボール捌きやスピードが賞賛されてはいるが、ジダンのことだ、仮に試合に出場したとしても短時間でのプレーで終わってしまう可能性が大であると見られている。  ジダンはリバプールのクロップ監督やマンチェスター・シティーのグアルディオラ監督のようなサッカーに革命を起こすタイプの監督ではない。(参照:「El Confidencial」)  勿論、ジダンも久保の将来性を高く評価はしている。それだけに、練習はレアル・マドリードの1部リーグの選手と一緒にさせて、実践は今期からカスティーリャの監督に就任したラウル・ゴンサレスのお膝元で育てるという意見であった。ラウルの選手時代はレアル・マドリードの至宝と評価されていた。ラウルも久保への期待が大きく背番号も「7」を用意していた。この背番号でラウルは選手時代にプレーしていた。

技術的に劣る2部リーグのリスク

 フロント陣の中でも意見が分かれていて、ジダンの考えに賛成するグループと他の1部リーグのチームでプレーさせるのが賢明だというグループの二つの意見があった。特に、2部リーグでもBクラスはプレーが粗く反則と判断できるようなプレーが目立つ。それは選手のレベルが1部リーグに比べ技術的に劣っているのを体力と反則で補おうとする傾向にあるようだ。  久保が移籍する前の最後に対戦したブルゴス戦でも、久保の前に相手チームは常に二人が久保のプレーを阻止しようとし、久保が始動すると相手は常に反則プレーでそれを阻止しようとしていた。(参照:「Libertad digital」)  結論からすると、久保のような将来レアル・マドリードの重要な選手になる可能性を持っている選手を2部リーグでプレーさせるのは久保選手にとっても良い結果は得られないということなのである。
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マジョルカでの久保の前途は?
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