老後2000万円問題をどう考える? お金に振り回されないための処世術

資産の分散やリスクヘッジを考える

 小野寺氏は、金融の仕事をする中で、投資家と関わる機会が多くあり、資産の分散やリスクヘッジの大切さを学んだという。 「金融商品の知識とともに運用面の知識もないと、大切な資産を減らす可能性があるので注意したい。リスクヘッジする運用の仕方の1つに、ドル・コスト平均法というのがある。毎月、一定額購入して積み立てしていくことで、価値の変動に左右されにくい。短期志向で考えるのでなく、中長期的な視点で資産を増やす目標を立てると良い」  定額購入型の投資手法は、これから資産運用をしてお金を増やそうとする人にとって、入門的な手法として知られている。世界経済の不安定さによって株価が下落傾向にあるため、賢く資産運用をしていく必要性がある。  そのためには、リスクの高い一括投資より積立投資を選んだ方が少額の資金で始められ、株価相場の上下に影響されない。また、国内よりも実績や信用のある海外のオフショアに目を向けた方が、長期的に見ても複利効果が期待できるので、資産を増やす1つの手段になるだろう。

お金を得るよりも大切な「幸せの基準」

 ここまではお金を増やす方法について見てきた。お金に対する感じ方には答えがない。人それぞれの価値観で、お金をどうやって手に入れるかを考えるだろう。  ではもし、お金について子供に説明する際はどのように説明するだろうか。日本はお金に関する教育が十分ではない。お金の使い方や貯め方、どうしてお金を稼ぐのかなど、お金に対する意識を子供のうちから身につける土壌がないのだ。  小野寺氏は、「お金を生み出す手段の1つに労働がある。しかし、必ずしも好きな仕事に就いて働いているわけではない。お金の教育を考える上で、まずは自分の好きなこと、得意なことを見つけ自分に何ができるかを考える。幸せを感じる基準は人によって異なるが、自分にとって何が幸せなのかを明確にすれば、お金のあり方や接し方を深く考えることができる」と説いた。  子供へ説明する際に、オフショアや積立手法のことを話しても分からない。自分の好きなこと、将来やりたいことを叶える手段としてお金があることを伝えてあげることが大切だ。  村上世彰氏の著作『いま君に伝えたいお金の話』は、お金に対する考え方や子供にもわかるように書かれた本だ。小野寺氏は、この本をきっかけに、お金に関する教育について考えるようになったという。  はじまり商店街のコンセプトである「はじまりをはじめる」。お金のことを知ろうと、まずは本を読んだり、お金の専門家であるフィナンシャルプランナーに相談したりと、何か行動を起こしてみると良いだろう。  老後の資産形成のためにも、お金に対して向き合うことが大切なのかもしれない。  将来お金に振り回されないためにも、しっかりとした知識を身につける必要がありそうだ。
1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている。
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