モラ夫は、世間体を気にするので、対外的には、おしどり夫婦を演じることが多い。被害妻は、モラ夫には逆らえないので、モラ夫の期待にしたがって、夫に従う良い妻を演じることになる。
正面からモラハラを問う離婚裁判を起こされた、ロック歌手の高橋ジョージさんは、破局以前はおしどり夫婦として知られていた。しかし、実際には、妻を支配し、様々な俺様ルールを押し付けたとされている。
その結果、妻は逃げ出した。結局、裁判は取り下げられ、協議離婚が成立した。高橋さんは、自らの「モラハラ」を否定しているらしいが、日本に「モラハラ」の言葉を広めた最大の功労者と言っても差し支えない。(
参考)
高橋さんの例に限らず、夫唱婦随のおしどり夫婦が、実は、モラ夫と被害妻であることは少なくない。被害妻たちの多くは、離婚を決断するまでは、夫に従うよい妻を演じるのである。
モラ夫の多くは、子が心配と言い募る。家庭では支配者として君臨していたモラ夫が、家裁の調停室では、泣き崩れて、調停委員を泣き落そうとすることも決して稀ではない。同居時は、子育てに無関心だったにもかかわらず、家裁ではイクメンだったと言い張ることもある。
他方、多くのモラ夫は、養育費を支払おうとしない。家裁では養育費を一円でも安くしようと、あることないこと(ないことないこと)を言い立てる。子が心配なのに、養育費を値切ろうと、精魂を傾けるのである。その熱心さは、「子が心配」って何なんだよ、と言いたくなるほどである。
冒頭の手紙に戻ろう。海よりも深く妻を愛している夫の元に戻るのは、おそらく賢明な選択ではない。戻ったら、モラハラの海に沈められ二度と浮かび上がってこれないだろう。