裁判所の内部文書から判明! 最高裁が隠蔽する「GPS捜査令状報告書」

第三者が使用する自動車に検証許可状を発付

報告書

「第三者が使用する自動車に検証許可状を発付した」とする報告書

 東京地裁は筆者の情報公開請求に対し、実際に裁判官が作成した報告書12通も開示した。この報告書の詳しい内容などについて、筆者は『最高裁が隠蔽するGPS捜査令状報告書』(kindle版)に書いているが、それらを見るといずれも検証許可状が請求されており、いずれも発付されていた。 「その他参考となる事項」に興味深い記述がある報告書もあった。 〈計3台について発付しているところ、1台については、第三者が使用していたことから、被疑者の使用を現認できるまで再請求(更新)をしないとのことであった〉  つまり、裁判官は第三者が使用する自動車に検証許可状を発付していたのだ。プライバシーの侵害もはなはだしい。このような報告が集まれば、最高裁も「検証許可状でGPS捜査を行うのは無理」という判断に傾くのではないか。

最高裁の指示は「裁判官の独立」を脅かす恐れ

 しかし、最高裁がGPS捜査に関する令状請求について各裁判官の報告を求めたのは、憲法が規定する「裁判官の独立」を脅かす恐れがあるとの指摘もある。  山下幸夫弁護士(日本弁護士連合会刑事法制委員会委員長)は、「令状発付の中身に踏み込んで報告させるのは、各裁判官の判断に立ち入るものではないか。最高裁は報告の目的と結果を明らかにするべきだ」と話す。  最高裁広報課は筆者の取材に対し、「当時の記録が残っていないので、(そういう報告をさせていたかどうかも含めて)回答できない」としている。 【文・写真/寺澤有】
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