対韓輸出規制の「即時撤回」を。「徴用工問題」にはどう向き合えばいいのか

中国では和解が成立しているケースも

 韓国の「徴用工問題」がこじれる一方、中国人の強制労働問題では、和解に至ったケースもある。2000年には、鹿島建設(旧鹿島組)と原告である中国人受難者・遺族らの間で和解が成立。  2009年には西松建設と原告らの和解が成立し、同社は一括した和解金として2億5000万円を支払った。また、受難者ら360人が労働を強いられた中国電力安野発電所内に、事実を記録した碑を建立するとされた。  2016年には、三菱マテリアル(旧三菱鉱業)が元労働者らに1人当たり約170万円を支払うことを約束。記念碑の建設費用や失踪者の調査費用も負担するという。

「まずは被告企業が判決に対して、どう対応するかが問われるはず」

 和田教授らが発表した声明「韓国は『敵』なのか」によると、これら中国人強制連行・強制労働問題では、「日本政府は、民間同士のことだからとして、一切口を挟みませんでした」という。しかし今回の徴用工問題では、日本政府が介入したことで、日韓関係が悪化してしまった。 「問題になっている元徴用工たちの訴訟は民事訴訟であり、被告は日本企業です。まずは被告企業が判決に対して、どう対応するかが問われるはずなのに、はじめから日本政府が飛び出してきたことで、事態を混乱させ、国対国の争いになってしまいました」  内田弁護士は、「韓国の徴用工問題についても、中国の場合と同じように、私企業が和解金を支払うのを妨げないようにするべきだ」と話す。加えて「加害の事実を認めて謝罪するとともに、将来に向けた歴史教育が必要」だという。 <取材・文/HBO編集部>
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