全国原子力・核施設一挙訪問の旅! 大洗、東海村を経ていわき市へ……

早速、重大インシデント発生

 3時間近い遅れで出発したコロラド号ですが、常磐道に入った時点で早速重大インシデント発生です。謎の大型リュックが車内に放置されていました。まさか爆弾!?  いえ、オフィスおしどりの若い衆が、これから17日間戻ってこないコロラド号の中に私物のリュックを置き忘れてしまっていたのです。金目のものは入っていませんが、ないと困るとのこと、早急に返送するために高速道路を降りる羽目になりました。嗚呼、更に1時間の遅延で合計4時間の大遅延です。先が思いやられます。  金目のものは、いただいておこうと思ったのですが、心優しいAさんは手つかずで返送してしまいました。
不審なリュックサック

7/4大洗にて不審なリュックサックを発見、四谷に返送するAさん(GoPro画像より)

第一日目7/4大洗後学センター、東海村原研、原電東海第二発電所

 第一日目は、JAEA大洗研究所(旧動燃大洗工学センター)、JAEA東海村、原電東海第二発電所を経て、いわき市にて宿泊です。
JAEA(日本原子力研究機構)大洗研究所

7/4 JAEA(日本原子力研究機構)大洗研究所(GoPro画像より)
左がJMTR(材料試験炉)、中央左がHTTR(高温工学試験研究炉)、右は民間のゴルフコース。研究所は、周りをサツマイモ畑、落花生畑、集落、ゴルフ場、海水浴場に囲まれている

 15時までに到着予定の大洗工学センターでしたが、到着したのはすでに18時。あまりも遅くなってしまい、日没間近です。ここには、JMTR、HTTR、FBR実験炉常陽という日本の原子力開発を支えてきた研究用原子炉がありますが、すべて福島核災害による新基準適合がまだで、休止中です。とくに最も重要なJMTRは、廃止が決まっており、日本の原子力開発にとって大きな損失となっています。いくら炉心構造体や原子炉構造体の中性子照射シミュレーション技術があるにしても、実際に照射実験を行うJMTR無しで今後どうやって行くのか、私には理解できません。  時間が遅くなったので大洗工学センターを離れ、東海村に移りましたが、もう19時で日没時です。原電東海第二発電所は、珍しく入り口の検問所が通りに面していません。検問所が公道に面しているのは、日本の原子力・核施設に共通に見られる核物質防護(核防)上の重大な欠陥です。これは福島核災害が起きるまで対テロール上重要な検問所を外部から隔離することを怠ってきた日本に多く見られる問題ですが、伊方、島根、女川、原電東海第二などの一部の例外を除いて共通に見られる事です。  原電については毀誉褒貶著しいですが、少なくとも原子力企業としては当たり前のことを怠っていないと私は考えています。  しかしJAEA東海村研究所群と原電東海第二に共通する問題は、集落が隣接してしまっていることと、30km圏内の人口が100万人前後ときわめて多いということです。当然ですが、原子力・核防災にとって住民がいつからそこに居住しているかは完全に無関係です。そこに人が住んでいることが防災計画を策定する最重要の条件なのです。  研究所は、元々広大な国有林である松林を研究所用地として使っているのですが、せっかくの敷地の奥行きを活用せずに国道や民家との緩衝地帯がありません。核防上の欠陥であるだけでなく、とくに先日建屋内のプルトニウム汚染という重大インシデントを起こした旧動燃の核燃料サイクル施設群は、病院や民家、旅館などの居住区と隣接し、更に東電の火力発電所とも隣接しているという、近年までの核防上、核防災上の意識の欠如を感じずには居られません。
次のページ 
運用41年を経て、立地不適格な原電東海第二
1
2
3