夏休み中に転職を検討!? その「転職シンドローム」は危ない

 ほとんどの会社員は、これから夏休みを取るか、すでに夏休み真っ只中の方がほとんどだろう。そして、この記事を読んでくださっている方の3人に1人はきっと夏休み中に、こんなことを思うだろう。「今の仕事を続けていていいのだろうか?」

夏休みに思い立った転職は危険

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 株式会社スタッフサービス・ホールディングスが20代から40代の会社員1000人を対象に行った調査によると、約3人に1人の人は夏休み・お盆休み明けに転職を考えたことがあるそうだ。(参照:スタッフサービス・ホールディングス)  また、実家に帰った人の方が、転職を考える人の割合が多くなる。その理由については、「休み中に自分の働き方や今後を考え直したから」と答えた人が約63%だった。  ずっと目の前の仕事に忙しかった人が、夏休みで心や頭に余裕ができて、ふと日頃の働き方や職場環境についてふと考えると、「あれ、本当にこんなことがしたかったんだっけ?」と考えてしまうのだろう。  また、実家という自分の原点に戻るという行動が、自分の夢や人生の目標を思い出すきっかけになるのだろう。  きっと考えれば考えるほど、あなたが転職すべき理由が見つかるだろうが、そういうときに考えた転職は、あまりうまくいかない。

転職先の仕事は“表”しか見えない

 なぜなら、あなたは今の仕事の表も裏も深く理解しているのに、転職先の仕事は表しか見えていないため、正確に比較ができていないからだ。「隣の芝生は青い」と言うように、人はなんでも外のものはよく見えるものだ。  ネットで転職したい企業のことを探して情報を集めても、人間は「確証バイアス」という、一度決めるとその決心を強化する情報にしか目がいかなくなる心理作用や、「正常性バイアス」という自分にとって都合の悪い情報を無視したり過小評価する心理作用を持っているので、心が転職に向いている状態では、正常な判断はできるはずがない。  心理学のさまざまな要素が、あなたが間違った判断をしてしまうことを指している。もし、それで転職をすると、想像とのギャップに絶望してまた転職をしたくなるか前の職場に戻りたくなるだろう。  とは言え、時間の余裕があるときに、自分の仕事について見つめ直すのが悪いというわけではない。むしろ、重要なのは考え方だ。
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原因ではなく目的を分析する
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