亀田氏はテレワークを導入したところ、通勤や取引先訪問など、仕事での移動時間に3、4時間かかっていたのが累計で約60%削減できたという。
「テレワークを導入したことで、移動時間の削減により業務効率化に繋がった。それだけでなく、リモートだからこそチャットツールでのやり取りになるので、理解しやすいようなコミュニケーションを図れるよう意識できるようになった。前まではちょっとしたことも電話で聞いていたが、テキストとしてエビデンスを残すことで、コミュニケーションがより円滑になったと感じている」
このようにテレワークを実践することで効果を実感している反面、まだまだ課題や注意点もあるという。
「対面ではないが故の表情のニュアンスが読めない。そのため、テキストでは汲み取れない相手の心情を読んでどう仕事をしていくか。また、働く環境によって集中力が欠けてしまわないよう、オンオフのメリハリをつける。セルフマネジメントをしっかりすることが大切になってくる。自営型の働き方に慣れていないと、テレワークを実践しても一概に個人のパフォーマンスが上がるとは言えない」
リモートワークの予定をスケジュール表で共有したり、チャットでの細かいコミュニケーションや、成果を出すためのセルフマネジメント力。対面コミュニケーションではない分、チームメンバーのことにも留意して業務に当たる姿勢が大切だ。久保氏は、部署ごとにローカルルールを設定し、業務が円滑に回るよう設計することで成果を出せるように工夫しているという。
また、テレワーク自体オフィスに出社しているわけではないので、サボろうと思えばそうできてしまう。久保氏は、こう語る。
「実は日本人はサボるよりも働きすぎる人の方が多い。集中するときは集中して、あとは適度なリフレッシュや休憩を意識的にしていくのが大切。私自身、仕事の合間を見てコーヒーブレイクや息抜きをしている。何時から何時まで仕事して、1時間ランチをして。という厳密なタイムマネジメントではなく、オンオフのメリハリをつけて仕事する意識が大事。リモートワークだからこそ根詰めず、適度なブレイクを挟み、集中できる仕事環境を自分で作れるよう努力している」
テレワークを上手く活用することで、生産性が高まり、良いアウトプットが生まれる。このような好循環を作るには、テレワークを行う目的を決め、セルフマネジメントできる素養を身につけることが大切だ。
とはいえ、どのようにテレワークを推進していけば良いか分からないこともある。2020東京オリンピックに向けて、国や東京都からテレワーク推進に関連するサポート事業が多数出ている。これからテレワーク導入を進める企業は、そのような支援事業を通して知見のある専門家から話を伺うのも良いだろう。
1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている。