「乗客のいない空港」がまだまだ成長を続けている理由とは?

敷地も業務も拡張・成長

 将来のプランとして、現在の340ヘクタールの空港の敷地を3年以内に10万平方メートル拡張する予定になっているそうだ。また、ジャイアント整備ハンガーとしてA380だと2機、500人乗りA350だと3機、或いは240人乗りA321の場合は7機が一度に収容できる格納庫もこの3年以内に建設することになっているそうだ。それが完成すれば新たに高度な技術を習得した100人の雇用が生まれるとされている。(参照:「El Pais」)  またドローンのパイロット養成も実施している。同様に将来プランとして現在検討が進められているのがドローンを利用して過疎地域への医薬品の発送である。それにはスペインに医療関係で1000以上の薬局を会員にもつ医薬品の販売業者ノバンティアとの協力のもとに進められている。また365日ヘリコプターを待機させて過疎地帯での医療サービスにも務めている。  同じく、飛行機のパイロットの飛行実習も行っており、これまで80人余りがそれを受けたそうだ。  エアバスもこの空港を利用して環境汚染を抑えるA320neoのエンジン開発の試験場として利用している。今のところ、これまでのエンジンに比較して70%の汚染低下のエンジンの開発を達成しているそうだ。

今後の投資として2400万ユーロを投入

 また、スペインで唯一の宇宙開発企業PLDスペースのロケットエンジンもこの空港に配備されている。  さらに、TVコマーシャルのスポットとしても利用されている。6月7日にはトヨタのハイブリッド新型カローラのスポットがこの空港で作成された。撮影の準備などで5日間を費やして僅か30秒のスポットであるが、一見する価値ありだ。(参照:「Motorpasion」)  今後の空港伸展の為の投資として現在2400万ユーロ(28億8000万円)を見込んでいるそうだ。  乗客のいない空港が発展するなど誰が想像したであろうか。空港で難しいことは何もしていない。結局は飛行機を飛ばす代わりに飛行機のパーキング場にするという発想の転換だったのである。
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身
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