無関係の第三者によりプログラミング言語Pythonの商標が取られる!過去にはPerlなどでも発生

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Gerd Altmann via Pixabay

無関係の第三者が商標を取得

 Python というプログラミング言語がある。利用者が多く、AIブームとともに日本でも人気が急騰している。文法が平易で読みやすいために教育分野でも需要が高い。登場は1991年。マスコットはニシキヘビ。青と黄のヘビがロゴマークになっている。この Python の商標が、無関係の第三者によって取られた。  この話題は、石本敦夫まつもとゆきひろ 両氏によってツイートされた。石本敦夫氏は、python.jp の管理人で、『Python文法詳解』(オライリージャパン)などの著書を持つ。まつもとゆきひろ氏は、プログラミング言語Rubyの産みの親として知られた人物である。  私が初見でこの話題を見たのは、2019年Python商標事件 – 西尾泰和のScrapboxである(参照:西尾泰和氏)。  問題の商標は、登録6042638になる。出願人は株式会社アーク。研修事業を主に手掛けている会社だ。登録されたのは、第9類、16類、41類、42類である。以下にその区分を掲載する。主に、教材や研修などを対象とした商標登録だ。 ”第9類 デジタルフォトフレーム,電気通信機械器具,録画済み又は録音済みのDVD・光ディスク・コンパクトディスクその他の記録媒体,通信ネットワークを介してダウンロード可能な動画ファイル・音声ファイル・音楽ファイル又は静止画ファイル,レコード,インターネットを利用して受信し及び保存することができる音楽ファイル,インターネットを利用して受信し及び保存することができる画像ファイル,電子定期刊行物 第16類 紙類,文房具類,定期的に発行される印刷された教材,定期刊行物,書画,写真,写真立て 第41類 組織の経営管理及び事業の変革管理・業務改善・後方支援への取り組みに関する教育訓練研修,マネジメント・コミュニケーション・営業・リーダーシップ・人材育成の能力向上の教育訓練研修,マネジメント・コミュニケーション・営業・リーダーシップ・人材育成の能力向上の教育・研修に関するコンサルティング・助言・指導及び情報の提供,教育・文化・娯楽用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供 第42類 デザインの考案(広告に関するものを除く。)

過去にはPerlなどでも発生

 こうした商標問題は過去にも発生している。Perl というプログラミング言語がある。20年ぐらい前は、サーバーのCGIといえば Perl だったが、今では下火になっている。2010年のことだが、テラ・インターナショナルという企業が商標を登録したことが問題になった(参照:スラド)。この商標登録は最終的に取り消された(参照:スラド)。  また、オープンソースという言葉でもトラブルがあった。「オープンソースソフトウェア」などと使われるこの言葉は、ソースコードを一般に公開して利用者による利用・修正・再頒布を許すこと意味する(参照:Wikipedia)。  オープンソースという言葉は防衛目的のために Open Source Group Japan が、2002年に取得した。その際は個人での取得だったが、その後、法人で管理するために2012年にOSDN株式会社へと権利を移行した。そもそもの切っ掛けは、2000年にオープンソースの類似商標が申請されたためだった(参照:Open Source Group Japan)。  このオープンソースの商標について、2018年にレシピ共有サイトなどを営む株式会社OPENSAUCEが、不使用取消審判を請求した(参照:栗原潔 – Yahoo!ニューススラド)。  古い話だが、Linux も過去に商標のトラブルがあった。Linux は Unix系のオペレーティングシステムで、リーナス・トーバルズ氏が開発の中心人物である。  当初彼は、商標を登録する気はなかった。しかし1994年に、ウィリアム・R・デラ・クローチェ・ジュニアという人物が、自身が申請した商標権を盾に、売り上げの10%を支払うよう Linuxベンダーに要求した。コミュニティは訴訟を起こし、最終的にトーバルズ氏が商標を所有することになった(参照:ITmedia エンタープライズ)。  プログラムやソフトウェアの世界では、自由な利用や複製が好まれることが多い。そのため一般に普及したあとに、商標や権利のトラブルが発生することがある。
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ただ、Pythonの名前の由来も悪戯心から……
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