ハッシュタグで起こした「革命」。倉持由香が語るSNSを使ったマーケティング論<「サラリーマン文化時評」#11>

ハッシュタグがグラドルの連帯感を可視化

真実:「『#グラドル自画撮り部』は、ハッシュタグひとつで一夜にしてムーブメントを創出したビッグ・アイディアだったと思います。日本マーケティング大賞とかカンヌ広告賞とか、そういうビジネス的なコンペに応募していれば受賞したんじゃないか、っていうくらい」 倉持:「ありがとうございます。ただあのときは、いろんな大人たちから『うちに任せてください』とか大量に連絡が来て、わけがわからなくなっちゃって……。商標登録も取られちゃったりしました。それは事務所がうまく話してくれたんですけど、とにかく混乱しちゃって。  『#グラドル自画撮り部』を立ち上げたのって22~23歳のときだったので、『よくわからない、オトナ怖い』みたいな感じで。本当はもっとそういうビジネス的な動きをできればよかったんですけど」 真実:「金の臭いを嗅ぎつけた大人たちが寄ってきちゃったんですね」 倉持:「『うちでプロデュースさせてください』とか『グループアイドル化しましょう』とか、いろんな人が来ました。でも、『#グラドル自画撮り部』でビジネスをしよう、お金儲けをしようっていうよりも、それを使ってそれぞれのコのフォロワー数が増えたり知名度が上がったりして、みんな個人で仕事が増えたらそれでいい、みたいな気持でした」 真実:「それまでグループアイドルの影に隠れていたグラドルの連帯感やファンダムが、あのハッシュタグで初めて可視化されたというか。可視化されたというより、倉持さんが創出したんですよね」 倉持:「『週刊プレイボーイ』のグラビア史振り返り特集でも、『#自画撮り部』が取り上げてもらえたりしました。グラビアがスゴく好きなので、グラビア史に残ることができたというのは嬉しいですね」

「#グラドル自画撮り部」が事務所の垣根を越えた文化に

真実:「でも、『#グラドル自画撮り部』って、事務所の許可を取るわけでもなく、個人で実施した企画ですよね。サラリーマンも、このように自発的に仕事を作るべくフットワークよく動かなきゃ、と反省しました」 倉持:「事務所に特に断りなく、勝手にやっちゃいましたね。そうしたら2~3日でわっと広がったので、事務所に問い合わせが大量にきて、事務所も『え?倉持が何かやってるの?』とてんやわんやでワタワタしていました」 真実:「あの企画って、ほかの事務所のグラビアアイドルも自由参加できるじゃないですか。事務所によっては反対されるような気もします。無料でグラビアをどんどん公開するし、事務所を越えてタレントが繋がってしまうわけなので」 倉持:「ほかの事務所の友達の中には『ごめんなさい、事務所から止められていて』というコも最初はいましたね。でも徐々に雪解けしていったり、あとは#グラドル自画撮り部のハッシュタグはつけられないけど、自画撮りは載せてくれる、みたいな感じで。そこから自画撮りをSNSに載せていく文化っていうものがグラビアアイドルに広がったかな」 真実:「今は部としてどのような活動をしているんですか?」 倉持:「BLOGOSで連載があるので、そこで毎月MVPを決めたり部員紹介をしたり。あとは先日5周年イベントをやりました。基本は本当に自由なハッシュタグなので、新人のグラドルのコたちが使ってくれている感じですね。彼女たちがこのハッシュタグで撮影会の告知をしている投稿を、私が運営している公式アカウントでリツイートしています」
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SNSの使いわけ方
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