誰でもVTuberを可能にした「カスタムキャスト」を通じてみた「VR」の課題

カスタムキャストのウェブサイト

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誰もが「なりたい自分になれる世界」

 昨年公開されたスピルバーグの映画『レディ・プレイヤー1』は、今から26年後の西暦2045年を舞台にした作品であった。  そこでは、誰もがヘッドセットを装着しバーチャルリアリティの世界を楽しんでいる。バーチャル世界での自分の肉体=アバターは現実とは違う物。冴えない主人公はイケメンになっているし、性別も現実とは真逆に変えることだってできる。  誰もが「なりたい自分になれる世界」。そんな作中で描かれた世界は、空想でなく現実になろうとしている。

11日で100万ダウンロード達成の「カスタムキャスト」

 2018年10月3日にリリースされたアプリ『カスタムキャスト』は、リリースされるとわずか11日間で100万ダウンロードを達成。に大勢の人が熱狂した。  このアプリは、「キャラクターメイキングアプリ」と呼ばれるものだ。  髪型や顔、体型などをカスタマイズして自分の好きなアバターをつくることができる。その上でスマホだけで配信までできるようにするシステムを備えている。  実は、それより少し前、2018年初頭からは「バーチャルYouTuber(VTuber)」が、ちょっとしたブームになっていた。  カメラの前で配信者がトークするYouTuberとは違い、画面に映っているのはアバター。多くは、アニメ調のものだ。でも、アニメのように描かれた絵ではない。画面の向こうでは配信者の動きに併せて、キャラクターが動くのである。  背後に人がいるということが、実写ともアニメとも違う生々しさを生み出す。それはネットユーザーを中心に熱狂を生んだ。中にはアバターに本気で惚れ込む「ガチ恋勢」と呼ばれる人たちまででているほど。  この現象が特異なのは背後で動いている配信者の性別がキャラクターとは無関係なことだ。中には可愛いキャラクターなのに男の声で話す者もいる。さらにボイスチェンジャーなどを駆使して女性になりきろうとする者もいた。そうして自らの魂の器をアバターへと移すような行為は宗教用語と絡めて「バ美肉(バーチャル美少女受肉)」と呼ばれるようになった。  しかし、映像を鑑賞することは手軽に出来ても自分が「バ美肉」しようと思うとハードルが高くなるという難点があった。まず高性能なパソコンやヘッドセットなどは必須。アバターをつくるためには3Dモデリングの技術は必須だし、もしも技術者にオーダーすれば数十万円はくだらない。配信ではなくアバター同士が交流をする『VRchat』というものもあるがネットを検索すれば見つかる初心者ガイドを読んでもUnityだとかBlenderにMMDと聞いたこともない単語が羅列されており、大抵の人は画面をそっと閉じるだろう。 『カスタムキャスト』の爆発的なヒットは、こうした「ヴァーチャルYouTuber」的なことを、「試してみたいがハードルが高すぎる」という問題点を、一気に吹き飛ばしたことが一因だと言える。
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それは「メイドさんになろう」から始まった
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