元東電・賠償担当者からみた、山本太郎氏らに向けられた「放射脳」という“風評被害”

福島の街頭演説に見た、山本氏の「対話しよう」という姿勢

話を聞く山本太郎

「福島の風評被害を煽るな」という聴衆の意見を聞く山本氏と蓮池氏(れいわ新選組
YouTubeより)

 また、れいわ新選組に参加した蓮池透氏も、原発事故による被害者の方々に謝罪をするなど真摯に向き合い、温厚でありながら鋭い指摘をするため、被害者からの信頼が厚い。反原発運動のなかには、己の正義感や虚栄心を満たすために被害者や関係者を利用する者もいる。  山本氏はそうしたニセ者には声をかけず、想いや人柄がしっかりしている蓮池氏に声をかけるあたりは、虚栄心に囚われた反原発運動家に利用されそうになったことのある筆者からすると、流石としか言いようがない。山本氏は、単に熱弁をふるうだけの人物ではなく、真贋を見極める力を持っていると思われる。  7月18日、山本氏と蓮池氏が福島駅東口で街頭演説を行った際、「福島の風評被害を煽るな」として山本氏を敵対視する聴衆がいた。山本氏はその声にも怒ることなく、その言い分を聞きつつ対話し、ていねいに説明をしようとしていた。  山本氏は「風評被害を煽るのをやめろ」と言ってくる人たちを否定しない。彼らもまた被害者であり、苦しんでいるということを知っているからだ。筆者は山本氏のこのような態度を見て、「放射脳」という呼び方こそ山本氏への“風評被害”なのではないかと思った。  利害関係を最優先して堕落した日本社会を変えるには、時には「デマ屋」だと勘違いされても、本質を問う気概のある姿勢を持ち続けることが必要となる。勘違いされても他者のために信念を貫く彼らの今後に期待したい。 <文/一井唯史
元東京電力社員。上智大学卒業後、2003年に東京電力へ入社。2010年、著しい業務改善の実績が認められ、社長表彰優良賞を受ける。原発事故後は、賠償業務への第一陣として福島第一原子力事故の賠償業務に従事。法人関係の賠償協議部門、賠償システム関係を経て、法人賠償部門の総括業務で指揮を執るも、過重労働によりうつ病を発症。労災問題を隠そうとする東京電力と対峙し、自力で労災申請を行うも東京電力より解雇される
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