OneDriveセキュリティ強化から考える、利便性と危険性のせめぎ合い

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Pete Linforth via Pixabay

マイクロソフトが OneDrive ファイルを保護するセキュリティ強化

 マイクロソフトが先月25日に、「OneDrive」のファイルを保護する新機能「パーソナル Vault」(Vault=金庫)を発表した(Microsoft 365(英)、OneDrive(日))。  パーソナル Vault をロックすることで、フォルダー内のファイルがセキュリティで保護される。アクセスには、指紋認証、顔認証、PIN、メールまたは SMS 経由で送信されるコードなどが必要となる。  アクセスしたあとも一定時間操作をおこなわないと自動でロックされる。マイクロソフトは、セキュリティと使いやすさを両立したとうたっている。オーストラリア、ニュージーランド、カナダで提供を開始して、順次世界に提供範囲を広げていく予定だ。

クラウドへのバックアップ。利便性と危険性の天秤

 パソコンを使っているとバックアップは頭の痛い問題だ。パソコンに保存するファイルは年々増加する。そして動画や写真の高解像度化に伴い、1ファイル当たりのサイズも増えている。  その結果、昔はCDRやDVDRにバックアップできていたデータが、容易にはバックアップできなくなってきた。ハードディスクを複数同期するにしても壊れる心配がある。それに、バックアップしたデータを、同じ家や部屋に保存しておいた場合、火事などで一度に失われる危険がある。  こうした問題は、ここ数年解決の道がひらけている。クラウドへのバックアップだ。大容量の保存先を利用すれば、自動でデータを遠隔地に残しておくことが可能だ。面倒な作業をしなくても、クライアントソフトが自動でデータの同期までおこなってくれる。  さらにこうしたサービスでは、モバイル時代に対応して、パソコン、モバイル、Webで、データが閲覧可能になっている。マイクロソフトの「OneDrive」だけではない。「DropBox」など、この手のサービスは、利便性をとことん追求している。  とても便利なクラウドストレージサービスだが、便利なものは、その反面、危険性もある。アカウントが乗っ取られると、中身が丸見えになる。またサービス側のミスで、データが外部からアクセスできてしまう可能性もある。  こうなると、どこまでサービスを信用するのかという話になる。利便性を犠牲にしても、セキュリティを自前で強化するのか。悩ましい話になってしまう。
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バックアップの暗号化
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