「何色でも選んでいいよ」大きく変化した子供たちのランドセル事情

「今までのような固定概念で教育はしません」公立小学校に起きた教育の変化

 私たちの子供時代とは大きくかけ離れたランドセル事情。裏に小学校の教育現場で大きな変化があると考え、実際に現役の教員の方に電話にてお話を伺いました。 「確かにランドセルの色の幅は広くなっていると思います。その裏には、ジェンダーの可視化をやめようといった取り組みがあるんですよ。我々はジェンダーのことについて、”隠れたカリキュラム”と呼んでいます」  取材に応じてくれたのは、首都圏の公立小学校に勤めている男性教員の黒川さん(仮名)。小学三年生のクラスを担任として受け持っています。  いま小学校教育において、色によって固定された男女の像を子供に植え付けるのをやめようといった取り組みがあると黒川さんは話します。「赤は女の子。青と黒は男の子のもの」といった、色によって男女を分けることはしないのです。  また相手への敬称も気を使っているとのこと。教員は必ず”さん”を使い、子供にも使用の指示をしています。理由は、男女で「くん」と「さん」を使い分けていると、子供が自己の性に疑問を持っていた場合、尊重することができないから。 「子供たちは大人が思う以上に敏感です。大人によって作られた固定観念によって”自分のアイデンティティ”を当てはめてしまい、”自己を押し殺す”ことを防がなくてはいけない。ランドセルの色の多様化はその表れの1つかもしれないでしょうか」  私たちの時代とは比べ物にならないくらい変化したランドセル事情。その裏には”多様性”が認められてきた証が隠されていました。 <取材・文/板垣聡旨>
ジャーナリスト。ミレニアル世代の社会問題に興味がある。ネットメディアを中心に、記事の寄稿・取材協力を行っている。
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