次に、大阪市北部のラブホ街を見てみよう。次の図は、大阪北部のターミナル駅周辺にあるラブホ街の料金について表したものである。
《梅田》《十三》《京橋》の料金
最も料金が高いのは繁華街・キタの中心にある《梅田》だ。数・密度こそ《難波》には敵わないものの、広がりや平均料金では《難波》を上回る。また、休憩ではどのラブホも平均的に高いが、宿泊では高いものと安いものに二極化する傾向が見られる。梅田の「北新地」と言えば、高級なクラブやバーが集まっていることで知られるが、ラブホテルもまた高級なのだろうか。
阪急神戸線・宝塚線・京都線の乗換駅のそばにある《十三》と、京阪・JRの乗換駅の周辺に形成された《京橋》は、休憩料金ではおおよそ同じ程度となっている。しかし、
宿泊となると、《十三》が平均よりやや高い一方で、《京橋》は平均よりいくらか低い料金となっている。これは大阪でもかなり低いほうであり、宿泊するならば《京橋》は財布に優しいラブホ街だ。《京橋》と言えば、大坂と京都を繋いでいた京街道(大坂街道)の終着地であるが、そのような宿場的性格が今にも残っていると考えると面白い(もちろん直接の因果関係があるわけではないだろうが…)。とあるラブホテルでは、交渉すれば1時間980円というサービスをうたっているが、これは《京橋》というラブホ街の性格をよく表している。
交渉次第で安くなるラブホ
さて、今回は「料金」という観点でラブホ街を比較してきた。《梅田》と《難波》の違いや、《京橋》の安さなど、ラブホ街にも様々な性格があることが分かっていただけたかと思う。もちろん、実際にラブホテルに行く際は、ふらっと空いている店に入るということも多いだろうが、「今日はラブホテルに行く」と決めている日には、料金の違いを考えて遊ぶ街を決めるのもいいかもしれない。この記事によって、少しでも読者諸氏のラブホテルライフが豊かになることを願う。
[データ出典]
●「
ハッピーホテル」
●「
カップルズ」
各ラブホテルHP
(料金データは2019年6月のもの)
◆短期集中連載―「ラブホテルの地理学」2
<取材・文・撮影/重永瞬(都市商業研究所) Twitter ID;
@Naga_Kyoto>
しげながしゅん●京都大学文学部地理学専修在籍。京都大学地理学研究会第7代会長。京都・観光文化検定試験1級を史上最年少(20歳)で合格。著書に『大阪市天王寺区生玉町におけるラブホテル街の形成と変容 歴史編』 (志学社論文叢書)
【都市商業研究所】
若手研究者で作る「商業」と「まちづくり」の研究団体。Webサイト「都商研ニュース」では、研究員の独自取材や各社のプレスリリースなどを基に、商業とまちづくりに興味がある人に対して「都市」と「商業」の動きを分かりやすく解説している。Twitterアカウントは「
@toshouken」
しげながしゅん●Twitter ID;
@Naga_Kyoto>。京都大学文学部地理学専修在籍。京都大学地理学研究会第7代会長。京都・観光文化検定試験1級を史上最年少(20歳)で合格。フジテレビのクイズ番組『99人の壁』鉄道旅SP出演でも話題になった。著書に『
大阪市天王寺区生玉町におけるラブホテル街の形成と変容 歴史編』 (志学社論文叢書)
【都市商業研究所】
若手研究者で作る「商業」と「まちづくり」の研究団体。Webサイト「都商研ニュース」では、研究員の独自取材や各社のプレスリリースなどを基に、商業とまちづくりに興味がある人に対して「都市」と「商業」の動きを分かりやすく解説している。Twitterアカウントは「
@toshouken」