政策のない自民党と、エッジの立った政策をぶつける野党統一候補の一騎打ちとなった参院・宮城選挙区の面白さ

問われる有権者の「意識」

 どうだろうか? 新人候補で「消費税撤廃」ばかりが話題になっている石垣候補だが、明確なビジョンを持ち、かなり具体的なところまで踏み込んだ政策を提案していることがわかる。  一方の愛知候補は、祖父の代から引き継いだ盤石な地盤と、参議院議員18年、当選3回というキャリアがベースにあるため、「言わずともわかる」ということなのかもしれないが、「その先」や「夢」、「力強い」という具体性のないふんわりとした耳障りの良い言葉はあるものの、「では具体的にどのような政策を掲げているのか」については、何一つ書かれていない。  この強烈な対比は、「紙に書かれたもの」に限ったわけではない。  過日、ニコ生で中継された日本青年会議所・宮城ブロック協議会の主催の愛知✕石垣公開討論会でも両候補の実力の差は明らかになった。具体的な政策が次々に繰り出す石垣に対し、愛知候補は明らかに防戦一方。愛知候補から具体的な反論がなされることは一切なかった。  公開討論会での覇気のある喋り方、力強い表情から見るに、石垣のりこ候補予定者は、意見・主張・政策を完全に咀嚼しているのがわかる。 一方の愛知候補予定者は、「しっかりとした議論を進めていく」と漠然としたことを、滑舌の悪い喋り方で繰り返すだけ。おそらく、政策のことなど深く考えたことがないのだろう。  2019年の参院宮城選挙区で見られるこの「強烈な対比」は、破綻が明確なアベノミクスを統計偽装やその場しのぎの答弁で取り繕い、国内向けには威勢のいい言葉で排外主義を煽ることで外交の失敗を誤魔化そうとしている、空っぽの自民党政権と、国会でさまざまな具体的な対案を提案しつつも数の力で封殺されている野党の姿の縮図でもある。 「野党には具体的な政策がない」  こうした紋切り型の表現に何の根拠もないことは、参院宮城選挙区を見れば明らかである。2019年の参院宮城選挙区では、「政策のことなどどうでもいい世襲の男性議員」に「ロジックとサブスタンスで強烈な喧嘩を仕掛ける新人女性候補」が挑む構図となっている。あの選挙区をみよ。「野党には具体性がない」などという表現は思い込みに過ぎないことがわかるだろう。今年の宮城の夏は、熱い。 <取材・文/HBO取材班>
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