一方で、上場企業なら3%超の配当を実施している銘柄が少なくないが、株式型CFでは設立から日が浅い企業が大半なため、
配当はゼロ。ただし、
株主優待制度を設けている企業はある。これまで株式型CFで8社に投資してきたサラリーマン投資家のクロノ氏は次のように話す。
「私が投資したALL YOURSというアパレルメーカーは、ストレスを感じない服だけをつくる異色の企業。水を弾いたり、汗で濡れても色が変わらないといった機能面に優れた服だけをつくっているんですが、
株主なら20%引きで購入できる優待制度があるんです。それとは別に
『20%増しで購入できる』という優待制度もある。株主なら割増価格で応援してくださいね!っていう制度(笑)。洒落てて面白いので友人に紹介したりして応援してます」
もう一つ忘れてならないのが、
エンジェル税制。設立して3年以下などの条件を満たした企業への出資については、
出資額から2000円を引いた額が課税所得から控除されるのだ。ただし、「『エンジェル投資税制を適用予定』と謳って株式型CFで資金調達しながら、確定申告時期までに
適用が間に合わない企業もあった……」(クロノ氏)とのこと。未熟な企業だけあって、経営体制や財務管理などさまざまな面でリスクがついて回るのだ。
「57社の資金調達を支援してきましたが、
1社が破産手続中で、間もなくもう1社の清算手続きが開始されると聞いてます」(柴原氏)
当然、倒産すれば株の評価額はゼロに……。ハイリスク・ハイリターンを承知で、目指せプチ・エンジェル投資家!
プチ・エンジェル投資家体験ができる株式型CF業者一覧
●FUNDINNO 運営:日本クラウドキャピタル
株式型CFのプラットフォーム運営会社最大手。’17年4月のサービス開始以来、57件の資金調達に成功。累計成約額は21億円以上。現在、非上場株を投資家同士が相対で売買できるプラットフォームの導入も検討中
●エメラダ・エクイティ 運営:エメラダ
ゴールドマン・サックス出身メンバーが’16年に創業し、’17年11月にサービス開始。投資家が株式を取得するのでなく、新株予約権を取得する点が特徴。行使のタイミングはIPO決定後。新株予約権のためエンジェル投資税制は適用外
●GoAngel 運営:DANベンチャーキャピタル
’17年9月にサービス開始。創業者は、非上場銘柄の取引所、グリーンシート市場(’18年に廃止)の創設に携わった旧ディー・ブレイン証券創業者の出繩良人氏。これまでに8件の資金調達を手掛け、累計成約額は1億1000万円以上
●ユニコーン 運営:ユニコーン
現在、第1号案件を準備中。HP上ではAIやブロックチェーン、IoT関連の案件を手掛けていくことを公表中。一時、投資家として登録した人に2000円分のAmazonギフト券を配布して話題に
●Angelbank 運営:ユニバーサルバンク
’19年中にサービス開始予定。代表は日本の著名エンジェル投資家・松山大河氏が在籍するVCのイーストベンチャーズ出身。国内ベンチャー事情に精通するとあって、注目を集める株式型CF事業者
現在サービス展開中の3社に加えて、近々開始予定の2社を掲載したが、そのほかにも準備中の事業者あり
【依田泰典氏】
個人投資家。株や不動産などに投資し、不動産投資で7億円の資産を築く。’17年からエンジェル投資を始め、複数のスタートアップに出資
【クロノ氏】
サラリーマン投資家。’10年から投資を始め、300万円を5倍に。株式型CFも’17年から開始。「
サラリーマン研究所クロノの投資ブログ」を運営
取材・文/上野 智 池垣 完(週刊SPA!本誌)