妻に加害するモラ夫予備軍は、結婚前の性的行動で判別可能<モラ夫バスターな日々18>

弁護士・大貫憲介の「モラ夫バスターな日々<18>

 婚活パーティーで知り合い、初めての男女関係を結んだ日、避妊をお願いしたところ、男性(30代)は、真顔で、「俺、真剣だから(避妊しない)」と答えた。  真剣だとなぜ避妊をしなくてよいのか、なぜ女性(30代)の意向が無視されてしまうのか、全く意味がわからなかったが、既にベッドの上で、その場の勢いで女性は押し切られてしまった。  結局、妊娠し、結婚したが、一緒に暮らし始めたとたん、彼にモラスイッチが入り、何でも、妻に命令するようになった。共働きだったが、夫は家事、育児を一切せず、完全なワンオペだった。結婚しても何のメリットもなく、一方的にお世話を要求され、威張って命令する「ご主人様」を得ただけだった。  「結婚とは何か」を理解するのに時間はかからなかった。1年もたたずに、結婚願望は、きれいさっぱり消えた。そして、彼女は私の事務所に相談に来た。

周囲に被害を相談しても「好きで結婚したんでしょ」と一蹴される

 被害妻が、夫からのモラ被害を周囲に相談すると、「(そんな彼を)好きで結婚したんでしょ(だから我慢しなさい)」と毒バイス(相談者に猛毒を与える、有害なアドバイス)を受ける。結婚後に突然モラ夫になったことを説明しても、「なんで見抜けなかったの?」「男なんてそんなもの」と批判され、被害妻の心身症は悪化していく。  これらの毒バイスは、つまり、「妻は夫に仕えるもの」「妻は我慢して、結婚を続けるもの」というモラ文化(男尊女卑を始めとする、モラ夫を育み、許容する文化)の押し付けである。  さて、モラ夫に捕まってしまわないようにするためにはどうしたらよいか。結婚しなければよいが正解だろう(だから生涯未婚率の上昇が止まらない)。  仮に結婚するとして、問題は、未婚のモラ男は、健全男子(非モラ)に擬態することである。多くの事例で、擬態は結婚後も続き、妊娠、子の出生やマイホーム取得などの妻が逃げられないタイミングで、モラスイッチが入り、モラ夫の正体が現れる。 結婚前にモラチェックをして、擬態を見抜けないものだろうか。  私は、離婚弁護士として、数多くのモラ離婚(モラ夫との離婚)を扱ってきた経験から、モラ夫の行動、考え方が、驚くほど類型化しており、似ていることを知っている。  未婚モラ男の多くは、健全男子に擬態していても、性行動では、本性が現れやすい。以下に1つでも該当する場合、彼は、モラ夫かもしれない。 1、初回から無理やり 2、意向や体調を無視して求めてくる 3、自分の快楽だけの行為で終わる 4、喧嘩のあと、求めてくる 5、避妊しない 6、デートは食事とラブホ  そんな中昨今、タレントの早乙女太一さんと西山茉希さんの離婚が報じられ、彼のモラ度が気になった。これまでに、以下のような出来事が報じられている。 2012年5月 飲酒の機会に西山さんが早乙女さんの友人とシモネタ系のなぞなぞをしたことなどに激高し、激しいDVを加える 2013年1月 破局 2013年4月 デキ婚 2018年8月 家事をしていた西山さんを全く手伝わず、「これ以上お腹空くと普通の美味しさじゃダメかもしれない」と言った  果たして、早乙女さんはモラ夫(男尊女卑を背景として、妻に対する支配を確立、維持しようとする夫)か否か。私は、早乙女さんを個人的に知らないし、会ったこともない。特定の個人について、報道だけでモラ夫と決めつけるのはやはりやめておこう。
次のページ 
性的行動にみる、モラ度の尺度
1
2