妻に加害するモラ夫予備軍は、結婚前の性的行動で判別可能<モラ夫バスターな日々18>

性的行動にみる、モラ度の尺度

 さて、早乙女さんを離れて、一般的なことを述べる。あくまで、一般論である。  飲み会での話題に激高してDVを加える。これは、強烈な男尊女卑を推測させる。男は、暴力を用いて、女を「指導」してもよいのだとの価値観があればこその暴挙であろう。  次に、破局の後の性交渉である。ここには、モラ男の特徴が満載である。  まず、モラ男は、女から離れていくこと、別れていくことを認めず、許さない。破局後に付きまとうモラ男もいる。  次に、モラ男は、喧嘩の直後に性交渉を求める傾向がある。性交渉により、支配・従属関係を確認するためである。それが破局となれば、更に激しい性衝動すなわち支配・従属関係の確認欲求に突き動かされていただろう。  さらに、デキ婚である。妊娠出産は、女性にとって、健康や職業、日常生活、将来を大きく左右する重大な出来事である。女性の意向を無視して避妊しないなどあり得ない。結婚を決心する前に妊娠したいと思う女性は、おそらく稀有だろう。  ところが、モラ男は、「俺の女」は、「俺の子の妊娠出産/妊娠可能性」を当然に受け入れるべきと考える。「俺の快楽」からも、避妊しないことによる支配欲の充足からも、避妊の選択肢はない。妊娠すれば逃げない、つまり支配を確立できるということもあろう。  以上、破局の後の避妊なしの性交渉は、最高度のモラ度を示す。さらにDVまである。  DV~破局~デキ婚の男性がいるとしたら、一般的に言って、モラ度マックス、DV・モラ夫丸出し、男尊女卑の権化と言っていいように思う。  つまり、性行動を観察すれば、モラ男を見抜ける可能性があるということだ。

避妊しないのは、結婚して支配下におくため

 冒頭の例に戻ろう。「俺、真剣だから(避妊しない)」は、確かに結婚を考えているという意味だろう。結婚し、支配従属関係に入るのだから、初めての性交渉から支配、従属化関係でよい、したがって、相手女性の意向は考えないということであろう。前述のとおり、この男性は、結婚後、モラ夫の正体を現した。  その後、離婚裁判に至っても、彼は、「別居の前日まで夫婦仲はよかった」「まだやり直せる」などと言い続けていた。妻が別居し、離婚調停、裁判を起こしているのだから、妻の決意は、客観的に示されている。しかし、モラ夫にとって、妻の意向や気持ちはどうでもいいのだ。  離婚調停の待合室で、ある妻がつぶやいた。 「妻に捨てられても、それを理解できないモラ夫たちが日本に溢れる日が来る気がする」 【大貫憲介】 弁護士、東京第二弁護士会所属。92年、さつき法律事務所を設立。離婚、相続、ハーグ条約、入管/ビザ、外国人案件等などを主に扱う。著書に『入管実務マニュアル』(現代人文社)、『国際結婚マニュアルQ&A』(海風書房)、『アフガニスタンから来たモハメッド君のおはなし~モハメッド君を助けよう~』(つげ書房)。ツイッター(@SatsukiLaw)にてモラ夫の実態を公開中
弁護士、東京第二弁護士会所属。92年、さつき法律事務所を設立。離婚、相続、ハーグ条約、入管/ビザ、外国人案件等などを主に扱う。コロナによる意識の変化を活動に取り込み、リモート相談、リモート交渉等を積極的に展開している。著書に『入管実務マニュアル』(現代人文社)、『国際結婚マニュアルQ&A』(海風書房)、『アフガニスタンから来たモハメッド君のおはなし~モハメッド君を助けよう~』(つげ書房)。ツイッター(@SatsukiLaw)にてモラ夫の実態を公開中
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