ご自分の笑顔がどう見えるかを鏡で確認してみましょう。もちろん、軽蔑や嫌悪を抱きながら、口角を引き上げられば、当然、支配的な笑顔になりますが、重要かつ注意して頂きたいことは、心から楽しいと思っていても左右非対称の笑顔は、支配的だという印象を相手に与えてしまうということです。
生まれつき顔面筋の付き方に偏りがあったり、愛想笑いをするとどうしても左右非対称の笑顔になってしまう方もいるでしょう。
そんなときは、口角を左右対称に動かすトレーニングをして下さい。意図せずして動いてしまう顔面筋は、意図的に動かすトレーニングをすることで、必要に応じてその動きを抑制させることが出来るようになります。また鍛えることでその部位を自在に動かすことが出来るようにもなります。
顔面筋の動きは、数ミリから大きくても1センチ程度です。
こんなちょっとした動きでも周りに与える印象に大きな違いを生み出します。
片方の口角が引き上げられた笑顔の営業パーソンから商品を買うのは躊躇してしまいます。「何か騙そうとしている?」と思ってしまいます。
笑顔に「嫌悪」が混ざる接客係からサービスを受けていると申し訳なくなります。「私、何か嫌なことしたかな?」と思ってしまいます。一方、満面の笑みのリーダーの元で働きたい。「どんなに困難でもその笑顔についていきます。」と思えてきます。
笑顔で損、してますか?
笑顔で得、してますか?
【参考文献】
Rychlowska, Magdalena, Rachael, Jack, Oliver, Garrod and Philippe, Schyns 2017. Functional smiles: tools for love, sympathy, and war. Psychological Science 28 (9) , pp. 1259-1270. 10.1177/0956797617706082
株式会社空気を読むを科学する研究所代表取締役・防衛省講師。1982年、東京生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、東京大学大学院でメディア論やコミュニケーション論を学ぶ。学際情報学修士。日本国内にいる数少ない認定FACS(Facial Action Coding System:顔面動作符号化システム)コーダーの一人。微表情読解に関する各種資格も保持している。20歳のときに巻き込まれた狂言誘拐事件をきっかけにウソや人の心の中に関心を持つ。現在、公官庁や企業で研修やコンサルタント活動を精力的に行っている。また、ニュースやバラエティー番組で政治家や芸能人の心理分析をしたり、刑事ドラマ(「科捜研の女 シーズン16・19」)の監修をしたりと、メディア出演の実績も多数ある。著書に『
ビジネスに効く 表情のつくり方』(イースト・プレス)、『
「顔」と「しぐさ」で相手を見抜く』(フォレスト出版)、『
0.2秒のホンネ 微表情を見抜く技術』(飛鳥新社)がある。