では、どうすれば「主婦がいないと回らない問題」は解決できるのだろう。そのひとつとして中野氏は、状況に応じて夫婦が役割を入れ替えることを挙げる。
本書では、妻がキャリアを継続し、夫が専業主夫にになった夫婦の例が紹介されている。状況に応じて「稼ぐ人」と「家のことをする人」の役割を夫婦間で入れ替え、乗り切っていくケースだ。
また、ライフステージによって働き方を変えられる環境も過去よりは整っている。たとえば、週5日フルタイム勤務だけではなく、週3〜4日勤務もある。いまやネットにつなぎさえすればどこにいても仕事ができるので、リモートワークを選択する人もいる。
それに、フリーランスなど雇用されない働き方を選択する人も増え、働き方はどんどん多様化している。仕事の間口が広がることで、子育てや転勤で離職した人が再就職や起業をしたりすることもできる。
もちろん、新しいやり方には試行錯誤がつきもので、さまざまな問題が一気に解決することはないだろう。しかし、過去に比べれば状況は少しずつ良い方向に進んでいることは確かだ。
「主婦がいないと回らない構造」は昭和に生み出されたもの。平成が終わり、令和を迎えたいま、働き方、生き方を見つめ直すときにきている。本書は、そんなことを考えさせてくれた。
<文/薗部雄一>
1歳の男の子を持つパパライター。妻の産後うつをきっかけに働き方を見直し、子育てや働き方をテーマにした記事を多数書いている。